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2025/8/19
【粘着・塗工・シート加工技術】五洋建設と積水化学工業、CO2を吸収するコンクリート表面被覆シートを開発
五洋建設と積水化学工業は、コンクリート構造物の劣化を防ぐための表面被覆シートを開発した。従来のような塗装を行うのでなく、貼り付けるだけで劣化防止効果を発揮し、シート自体にCO2の吸収性能がある。また、貼り付けた後でもコンクリートの表面状態を目視確認できるのが特長。
【開発の背景】
コンクリートは、CO2、塩化物イオン、水分などの浸入が原因で劣化する。これまでは、有機系の材料でコンクリートの表面を塗装することで、劣化要因の浸入を防ぐ方法が広く使われてきた。しかしながら、塗装後に乾燥させる時間が必要になることに加え、コンクリートの表面を覆ってしまうことで、塗装後にコンクリートの劣化状況の確認が難しくなるという問題や、コンクリート自体が持つCO2を吸収する能力が低下するという問題があった。
そこで、五洋建設が持つコンクリート製港湾構造物の維持管理に関する専門知識と、積水化学工業が持つ粘着配合技術、塗工技術、シート加工技術などを組み合わせることで、コンクリートの状態を目視確認でき、かつCO2の吸収性能を持つシートを共同で開発した(図-1)。

【技術の概要】
(1)透明性
同シートは透明であるため、貼り付け後でも、コンクリートの状態を目で見て確認でき、ひび割れなどの変状を早く見つけることができる。
(2)CO2の吸収性能
同シートは粘着層にCO2の吸収性能を有する材料を使用している。密閉した空間に同シートを静置してCO2濃度の経時変化を確認する促進試験を行った(図-2)(※1)。その結果によれば、同シートは施工後10〜20年程度にわたって吸収効果が継続することが見込まれる。
(3)遮塩性、耐久性
同シートは土木学会「表面保護工設計施工(案)」の有機系被覆工法における遮塩性能を満足しており、高い遮塩性を有している(※2)。また、表面に耐久性の高いフィルムを使用することで、屋外の厳しい環境でも長期間使用でき、シートの劣化を防ぐことができる。
(4)適用範囲
同シートは表面が乾燥して平滑な状態な面に対して施工する必要がある。また、コンクリートの中の鉄筋位置での塩化物イオン濃度が、鉄筋が錆び始める限界値を超えていない構造物(建設されてから年数が経過していない)に適している。
【試験施工と今後の展開】
五洋建設技術研究所のRC造の守衛室の壁に試験施工しました(写真-1、2)。同シ
ートは貼り付け作業がしやすく、貼り付け後も透明性が維持されることが 確認できた。今後は、同シートを土木や建築のコンクリート構造物に使用し、長寿命化を図っ
ていく。
※1 一般大気中に比べ 1000 倍の CO2 濃度で実施
※2 シートを貼った場合と貼らなかった場合で、塩水に 63 日間浸した後に塩化物イオンの浸入を比較する実験を行ったところ、シートを貼らなかった場合は 25mm 程度の塩化物イオンが浸入したのに対し、シートを貼った場合の浸入は見らなかった
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