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2024/7/12

【脊椎ケージ】帝人ナカシマメディカル、「井上春成賞」受賞

 帝人のグループ会社で、整形外科手術用インプラント製品などを手がける帝人ナカシマメディカルは、国内の研究開発領域において最も由緒ある賞の1つである第49回井上春成賞を、大阪大学大学院工学研究科の中野貴由栄誉教授とともに受賞し、7月12日に開催された贈呈式において表彰された。
 井上春成賞は、大学や研究機関などの独創的な研究成果を基にして企業が開発、実用化した技術のうち、日本の科学技術の進展や経済の発展に寄与し、福祉の向上に貢献した優れた研究開発を科学技術振興機構が表彰するもの。
 今回の受賞技術名称は「強固な配向骨を誘導する積層造形椎間スペーサー」。椎間スペーサーは脊椎ケージとも呼ばれ、脊椎疾患の治療において、隣接する椎体の間に設置され、互いに骨癒合して一体化する。既存品では、骨癒合を得るために患者さん自身の骨(自家骨)を充填する必要があり、骨癒合が不十分な場合、脊椎ケージが移動もしくは脱転することが課題であった。これに対し、帝人ナカシマメディカルは、中野貴由栄誉教授とともに開発した「HTS構造(Honeycomb Tree Structure:ハニカムツリーストラクチャー)」という骨基質の配向化誘導(*)を実現する独自の多孔体構造を採用し、金属3Dプリンターの高度な積層造形技術を駆使することでHTS構造を有するスペーサータイプの脊椎ケージ「UNIOS(ユニオス) PLスペーサー」の製品開発を行った。
(*)健常な骨組織を構成するコラーゲンおよびハイドロキシアパタイトは、荷重などに対して力学的機能を最大限に発揮できるよう特定方向に配列されている(骨基質の配向性)。この骨基質を配向化し、かつ誘導することによって健常な骨の構造を再現し、力学的な機能を高めることが期待できる。
 今回、社会実装された技術は、骨基質配向性の原理と金属3Dプリンターの積層造形技術を融合した産学連携による成果であり、「高齢化社会において高齢者の多くに見られる脊椎疾患の治療に資するものである」と評価されたことから受賞に至った。
 帝人ナカシマメディカルは、このたび受賞した「UNIOS PLスペーサー」を必要とする患者さんへ届けることに努めるとともに、今後も産学官連携による研究開発に積極的に取り組み、より支えを必要とする患者・家族・地域社会の課題解決に貢献することを目指していく。

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