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2025/2/10
【自動車】JMC、ギガキャスト試作を含む大型製品の生産能力を強化。低圧鋳造炉の増設・大型ブラストルームの導入
JMCは、2025年2月にコンセプトセンター(長野県飯田市、鋳造工場)第8期棟に、大型低圧鋳造炉および大型ブラストルームを導入した。
導入の背景
近年、自動車業界においてギガキャストで話題になったアンダーボディ(車体下部の骨格)やサスペンションメンバー(車体と車輪をつなぐサスペンションの骨格)などの足回り部品を、分割せず一体のアルミ鋳物で製造するニーズが高まっており、JMCにおいても2023年より多数の大型部品試作を請け負っている。これらの部品は自動車のなかでも性能や安全性に直結する重要な役割を果たすことが多く、高い鋳造品質を求められる。
JMCではこのような試作ニーズの変化にいち早く対応するため、2023年にはギガキャストクラスの鋳物に対応する大型鋳造炉(定盤面積2000mm×2000mm、溶解重量500kg)を導入し、大型試作品の供給体制の整備にいち早く着手してきたが、今後、量産に向けたニーズも拡大することを予想しており、さらなる生産能力の強化を目的に設備増強を実施した。
導入生産設備について
低圧鋳造炉は現在保有している大型炉相当の規模(定盤面積 2060×1900mm、溶解重量 約400kg)を1基増設した。これにより鋳造サイクルの改善を図り、生産上のボトルネックを解消する。
大型ブラストルームは、最大ワーク寸法 2000×1500mm、最大ワーク重量 150kgまで対応可能な仕様となっており、JMC現有設備による最大サイズを大幅に引き上げることになる。一般的なブラスト装置は、作業者が装置外から手を入れて処理を行うが、ブラストルームは防護服を着用した作業者が装置内で処理を行う。鋳造品製造において表面に付着した砂の除去や改質効果を得るブラスト処理は欠かせない工程であり、ブラストルーム導入によって大型鋳造品のブラスト処理効率の飛躍的な改善を実現する。また、今般導入した不二製作所製ブラストルームは、風力循環によって研磨剤や粉じんの分級が可能で、一般的なブラストルームで課題となる噴射後の研磨剤の分別回収作業を不要としており、生産効率の向上に大きく寄与するものと考えられている。
<設備の概要>
所在地 :長野県飯田市伊豆木(コンセプトセンター第8期棟)
投資額 :約1億円
対応素材:アルミニウム合金
製造品 :自硬性砂型による低圧鋳造部品
JMCはこれらの設備増強と大型鋳造品製造のノウハウの蓄積によって、2025年内にギガキャストクラスの大型製品で月100台以上の生産キャパシティの獲得を目標としている。自動車メーカーおよび部品メーカーが課題としている少量多品種の生産において、また、「Xin1」の広がりにより進む鋳造部品の複雑化に対して、「砂型鋳造による大型鋳造品」という新しい価値を提案し、販売促進に努めていく。

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