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2024/1/17

【自動車の2023年カラーレポート】BASF、「『無彩色のシフト』」ホワイトは依然として1位だが、ブラックの人気が高まりホワイトの市場シェアを奪う」と分析

 BASF(本社:ドイツルートヴィッヒスハーフェン)は、2023年秋に発表した自動車のカラートレンドで、従来の自動車の色域が変革期を迎えていると述べた。BASFの2023年自動車のカラーレポートでは、その傾向を裏付ける確かなデータが提供されている。

 常に自動車カラーの基礎を形成してきた無彩色は、大きな変化を迎えている。ホワイトは乗用車で最も人気のあるカラーとしての地位を維持し続けているが、シェアは著しく減少している。対照的に、ブラックの人気が急上昇し、ホワイトのシェアを奪って人気を拡大している。
 消費者の好みも地域によって異なる。たとえば、北米では、暗いグレーよりも明るいシルバーの色合いが好まれる傾向にあるが、EMEAのトレンドは、暗い色合いに傾いている。この地域による違いは、進化するカラーの様相に興味深い側面をもたらしている。
 一方、有彩色は安定しており、総市場シェア(19%)に大きな変化はない。ブルー、レッド、ブラウン、ベージュなど幅広いカラーがあり、ユーザーの人気を維持している。

EMEA:国により異なるカラー傾向、無彩色の人気は共通するものの、有彩色の好みは様々
 無彩色は、ヨーロッパ、中東、アフリカ(EMEA)で 2 ポイント増加しました。自動車購入者は、ホワイトやシルバーの明るいカラーから、ブラックやグレーの暗い色合いを選択するようになった。プレミアムな車種には、エントリークラスやミドルクラスの車種よりも多くのエフェクト顔料が使用されており、カラーの深みと創造性を表す。
 ヨーロッパの自動車購入者がカラーを選ぶ際、国特有の嗜好がある。ドイツはブルー(11%)、スペインとイギリスはレッドとオレンジ(約9%)、フランスはグリーン (6%)を好む傾向にある。そして、イタリアは全ての有彩色に好意的で、全5カ国の中で有彩色の割合が最も多くなっている(30%)。
 BASFの自動車カラーデザインのグローバル責任者であるマーク・グ-トヤール氏は次のように述べている。
 「無彩色は継続して最も人気があるものの、有彩色には各国の好みの色域があります。主要なEMEA諸国には、一般的に異なるカラー分布が見られ
ます。私たちのお客様である自動車メーカーは、現在、自動車販売店で個性と創造性のあるカラーの選択肢を幅広く提供しており、自動車購入者はそれを楽しんでいます」

北米:より明るい無彩色とより多くのエフェクト顔料の出現
 EMEAと同様に、北米でも無彩色は全体で2ポイント増加した。自動車メーカーがいくつかのグレーを廃色にした後、消費者は明るいカラーに移行し、それらの大半はシルバーに置き換えられた。
 また、2023年に北米におけるレッドのシェアは、他の地域と比較して最も高くなったが、北米で最も人気の有彩色であるブルーには及ばなかった。
北米担当カラーデザイナーのエリザベス・M・ホフマン氏はこう述べている。「他の地域に見られるのと同じ変化が私たちにも起きています。古い標準カラーパレットはもう適用されません。明るい色合いの人気が高まっており、グレーから市場シェアを奪いつつあります。明るいカラーに強さと高揚を与えるエフェクト顔料を使用する選択肢が増えています」。

アジア太平洋地域:豊富なエフェクトバリエーションの有彩色が増加
 アジア太平洋地域における有彩色は、新しい自動車カラーパレットで主導的地位を維持し、2022年と比較してわずかに増加した。ナチュラルカラーの人気が高まり、特にグリーンが増加した。明るいカラー、特に明るいグレー系やシルバーの人気が高まった。
 アジア太平洋地域のカラーがより多様である理由の1つは、ボディータイプの豊富さにある。新エネルギー車(NEV)には、特にグリーンとパープルの影響を受けたカラーなど、新鮮なカラーが見られる。
 アジア太平洋地域自動車カラーデザイン責任者の松原千春氏は次のように述べている。
 「さまざまな新しい自動車が登場するにつれて、より生き生きとしたカラーパレットが現れるのは自然なことです。新興自動車メーカーはアジアで新車を開発する中で、通常の色域以上のものを求めています。彼らは新しいカラーデザインに、大胆で創造的なものを求めており、若い消費者はそれらのカラーを高く評価しています」

南米:引き続き無彩色が最も多く占める地域
 南米は歴史的に自動車カラーに対して保守的なアプローチをとっており、2023年も無彩色が大部分を占める。南米で組み立てられた新車の86%は、ホワイト、ブラック、シルバー、またはグレーのボディで、全地域の中で最も多くなっている。シルバーの割合も南米が最も高くなっている。
 このような市場の状況を受けて、無彩色を目立たせるために、エフェクト顔料を選択する自動車メーカーが増えている。2022年と比較し、全てのボディーサイズで、より多くの車にエフェクト顔料が使用された。
 BASFコーティングス事業部南米担当ディレクターであるマルコス・フェルナンデス氏は次のように述べている。
 「『カラー』はもはや単なる色ではありません。経験なのです。それがパールでも金属フレークでも、その他の顔料でも、エフェクトによりカラーは、自動車を見る人の目に飛び込みます。それは、ますます人気の高まっているある種の魅力を与えます」

 BASF自動車用OEM塗料カラーレポートは、BASFのコーティングス事業部が2023年の世界の自動車生産と乗用車への塗料適用に基づいて作成したデータ分析である。

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