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2024/12/17
【製鉄用電気製錬炉】リオティント/ブルースコープ/BHP、オーストラリア最大のESPパイロットプラント開発に西豪州を選択
オーストラリア最大の鉄鉱石サプライヤー2社と同国最大の鉄鋼メーカーは、オーストラリア最大の製鉄用電気製錬炉(ESF)*1パイロットプラントの開発場所として、パース南部のクウィナナ工業地区を選定した。この画期的なプロジェクトは、ブルースコープ、BHP、リオティントの専門知識を組み合わせ、ルバラ鉄鉱石を使用して従来の高炉を利用せずに鉄を生産する技術を検証するもので、各社が協力して鉄鋼生産の脱炭素化を加速させる取り組み。
3社は2024年2月にNeoSmelt(ネオスメルト)というコンソーシアムを結成し、BHPとリオティントのピルバラ鉄鉱石に関する両社の深い知識と、ブルースコープのESF技術における独自の運用経験のコラボレーションを図っている。
ネオスメルトはまた、最終的な商業上の決定事項を条件として、Woodside Energy(ウッドサイドエナジー)が対等な出資者およびエネルギー供給者*2としてこのコンソーシアムに参加することも発表した。
ESFパイロットプラントは、直接還元鉄(DRI)技術と組み合わせることで、ピルバラ鉄鉱石から低炭素排出*3での銑鉄生産が可能であることを実証することを目的としている。
パイロットプラントでは、年間3万トンから4万トンの銑鉄が生産される予定。当初は天然ガスを使用して鉄鉱石を還元してDRIを生産するが、操業開始後は、より二酸化炭素排出量の少ない水素を使用して還元することを目指している。
ネオスメルトが成功すれば、ピルバラ鉄鉱石を使用した炭素排出量がゼロに近い鉄鋼生産*4への道が開かれ、オーストラリアの鉄鉱石産業の持続性が確保される可能性がある。
ネオスメルトは、オーストラリア国内の複数のパイロットプラント候補地を精査した上で、クウィナナ工業地区を選択した。同工業地区は、輸送ロジスティクスへのアクセスと既存のインフラを活用し、西オーストラリア州政府からの7500万豪ドルの支援も受けている。
資金調達完了を条件とし、本プロジェクトは2025年第2四半期に実現可能性調査に着手する決定がなされることを想定しており、パイロットプラントの最終投資決定(FID)は2026年、操業開始は2028年を予定している。
ネオスメルトプロジェクトは、その目的を補完する場合、更に他の当事者との協力関係を結ぶ予定。
*1 業界内では「電気メルター」とも呼ばれる。
*2 エネルギー供給には、水素、天然ガス、電気などが含まれる。
*3 低炭素とは、例えば、類似の資源、プロセス、生産施設、製品、サービス、活動など、過去または現在のやり方、類似のものなどと比較して、関連する潜在的な温室効果ガス排出量が低いことを意味する。
*4 ゼロエミッションの標準化された世界共通の定義はないが、IEA(国際エネルギー機関)は、鉱石を100%使用した生産(スクラップなし)の場合、粗鋼1トン当たり0.40トンのCO2-e(二酸化炭素換算)と定義している。
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