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2025/2/27

【走査電子顕微鏡】島津製作所、「SUPERSCAN SS-4000」2機種発売

走査電子顕微鏡「SUPERSCAN SS-4000」、オプション含む

 島津製作所は2月26日に走査電子顕微鏡「SUPERSCAN SS-4000」2機種を日本国内で発売した。業務提携を結ぶ、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、以下SEM)メーカーであるチェコ共和国のTESCAN社との共同ブランド「Shimadzu by TESCAN」第一弾でとなる。同シリーズは、試料の前処理低減に有効な低加速・低真空での観察に最適化されており、歪みのない広域観察やリアルタイムでのビームの自動調整など、SEMユーザーにとって使用上の課題を解決した装置になっている。島津製作所は日本語対応のソフトウェアやマニュアルを整備して、据え付けから点検・修理などアフターサービスまでのトータルサポートを提供する。
 電子顕微鏡はナノ領域の表面観察が可能な、科学技術の研究で必須の装置。「電子線を試料に照射し、試料から発生する二次電子や反射電子を検出して表面の形状や組成の違いを観察」という原理のため、帯電しやすい試料(非導電性試料)の観察は難しくなるが、「SUPERSCAN SS-4000」は、帯電を抑制できる低加速での観察が可能で、セラミックや樹脂など非導電性試料に対して最適な解像度とコントラストの画像が得られる。また、試料観察時の電圧・電流変更におけるビーム特性変化により生じる画像の明るさやフォーカス、観察中心位置のズレが自動調整されるため業務効率の向上に貢献する。同シリーズは、元素分析、電子後方散乱回折、化合物分析、化学結合種分析など約20種類の分析オプションに対応できる拡張性と、専用ソフトウェア「Essense」による高い操作性を実現している。島津製作所は、TESCAN社との共同ブランド「Shimadzu by TESCAN」を通じて、様々な研究開発向けに付加価値の高いソリューションを提供していく。
 「SUPERSCAN SS-4000」の特長は次の通り。
1. BrightBeamテクノロジーによる超高分解能観察
 低加速条件で高いビーム収束度が得られる独自のBrightBeamテクノロジーを用いた光学系により、非導電性材料やビームに弱い材料に対して試料前処理なく微細な観察が可能。またソフトウェアによる光学系制御により電圧・電流変更によって生じる画像の明るさやフォーカスのズレを自動で調整するIn Flight Beam Tracingにより分析ワークフローを削減できる。
2. 低真空でクリアな画像
 非導電性試料の観察には帯電によるチャージアップ現象の防止のために低真空状態が必要。本製品では7~500Paまでの低真空範囲に対応可能。一般的なSEMでは低真空において窒素ガスを用いるが、本製品では信号増幅率の大きい水蒸気雰囲気による独自の検出システムを採用しているため、生体試料の低真空での高感度観察に有効。
3. 豊富な分析オプションと高い操作性
 元素分析、電子後方散乱回折、化合物分析、化学結合種分析など約20種類の分析オプションに対応可能。また、元素分析など専用のソフトウェア「Essense」によって統合されたシステムにより高いユーザビリティーを実現している。
※BrightBeam、In Flight Beam Tracing、EssenseはTESCAN社の登録商標
※ 特長2. 3.の一部は大型試料モデルでの対応となる
 希望販売価格は、SS-4000 LMH 1億1000万円から(税込み)、SS-4000 GMU 1億2914万円から(税込み)で、販売目標は年間10台。

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