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2025/4/28

【農業用マルチシート】日本製紙パピリア、和紙の製造技術を応用した「和紙マルチ」販売開始

 日本製紙グループ日本製紙パピリアは、雑草の抑制や地温・土中水分の管理などに用いる農業用マルチシートについて、製紙技術を活かしながら開発を進めており、このたび、「和紙マルチ」という製品名で5月1日より販売を開始する。
 「和紙マルチ」は、特殊紙の製造技術を用い、主原料に木材繊維(パルプ)と生分解性プラスチック繊維を使用しており、それぞれの特徴を活かしている。これにより"通気性により地温上昇を抑制できる""使用後に土にすきこむことで回収が不要となる"など、現在多く流通しているポリエチレン製マルチシートにはないメリットを有している。なお、生分解性プラマークも取得(登録番号1366)しているため、安心して使うことができる。
 日本製紙パピリア高知工場は土佐和紙の製造を源流に持ち、その技術を発展させることで、様々な分野へ展開する高機能・高付加価値を持つ特殊紙を製造している。「和紙マルチ」も和紙が持つ「軽い」「強い」「薄い」特徴を兼ね合わせている。最大の特徴としては、これまでの生分解性プラスチック樹脂のみを用いた生分解性マルチシートでは難しかった長期保管が可能となる。また、軽くて薄いことによる運搬費用の抑制や設営作業の効率化も期待できる。
 「和紙マルチ」の特徴は次の通り。
(1)長期保管性
 従来の生分解性マルチシートはその劣化により、長期保管に向かない(多くの製品が製造後1年以内の使用を推奨)という課題があったが、「和紙マルチ」は、日本製紙パピリアの試験では3年後も強度低下がほぼ認められなかった。このため、保管による品質低下のリスクを低減することができる。
(2)地温上昇の抑制
 和紙の通気性により、従来の農業用マルチシートよりも3~4℃程度、地温上昇を抑制する効果がある。暑さに弱い冷涼性野菜、中温性野菜や夏場の栽培に適している。農家や大学・研究機関との栽培テストにより、現時点での主な作物として、イチゴ・落花生・大根などの栽培で良い結果を得られている。
(3)農作業の効率化
 ポリエチレン製マルチシートは使用後に回収し、産業廃棄物として処理する必要があるが、「和紙マルチ」は土にすきこむことで、土に返るため、農作業の効率化に貢献するとともに、農家の高齢化やプラスチックごみ問題の解決につながる。
(4)農業用マルチシートの市場規模
 国内農業用マルチシートの市場規模は約4万トン/年と推定され、そのうち生分解性マルチシートは約4000トン/年だが、年々生産量は増えてきている。紙を用いた農業用マルチシートはこれまでもあったが、和紙の特徴を活かし、環境負荷を抑えながらより高機能な製品となる。
 現在、紙の原料である木質素材を最大限に活かすため、樹脂も天然素材のものを用いるなど、全て天然物で構成した「和紙マルチ」の開発を進めており、将来的な販売を目指す。これにより、これまでは生分解性農業マルチが対応していなかった有機農業においても使用できることを想定している。また、紙は多孔質であるため、害虫忌避剤や緩効性肥料を固定させ、付加価値を持たせるなどの技術も検討している。

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