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2025/11/15

【電子基板卓上検査機】シリウスビジョン、事前学習不要AI「Regulus」搭載の「S-Comet」販売開始

 シリウスビジョンは、このたび、ユーザーによる学習が不要の新AI「Regulus(レグルス)」を開発、電子基板の卓上型外観品質画像検査機「S-Comet(エスコメット)」 に搭載し、販売を開始した。
 Regulusは、同社製の学習型AIである「Sirius-AIS(シリウスアイズ)」と異なり、ディープラーニング(深層学習)による学習モデルの作成が不要。すなわち、「S-Comet」を導入したその日から、目視に替わり「Regulus」が良品か不良品かを判定する。
 この新AIは、電子基板とともに、半導体・電子部品、ウエハー、シール・ラベル、銘板、化粧品・医薬品容器などの印刷品、各種成形品などの外観品質検査機や印刷品質検査機に搭載され、これらの製品を製造する工場の生産自動化(ファクトリーオートメーション)に貢献する。
 「Regulus」の特長は次の通り。
(1)学習型AI「Sirius-AIS」との違い
 学習型AI「Sirius-AIS」の場合、事前に集めた良品画像データと不良品画像データ、および不良品画像内の欠陥領域データを使ってディープラーニングにより学習モデルを作成し、その学習済モデルを検査機に導入する。「Sirius-AIS」 はその学習済モデルを使って推論処理を実行し、良品か不良品かを判定する。この良・不良判定精度を上げるために、事前に集める必要のある学習用画像データが、欠陥種類ごとに数十個から100個以上必要となることがあり、この学習用データ集めに手間と時間を要す。新AI「Regulus」の場合、この学習用データ集めが不要となる。さらに、高速コンピュータであっても数時間から10時間以上かかることもある学習も不要。
(2)学習不要の新AI「Regulus」の判定方法
 「Regulus」の場合、目視検査員が良品か不良品を判断する判断基準(不良の特徴)を「Regulus」が理解できる指示言葉「Regulus Text」でRegulusに指示するだけ。この「Regulus Text」は、検査対象(電子基板や半導体部品、ウェハー、シール・ラベルなど各種印刷品、銘板、各種成形品など)に応じて標準で用意される。

Regulus Text の例文

 ただし、「Regulus Text」に従って「Regulus」が正しく良品・不良品を識別するためには、「Sirius-AIS」同様、良品画像データと不良品画像データ、および不良品画像内の欠陥領域データが必要。これら3つのデータは、同社の既存の画像検査ソフトウエア「FlexVision」「AsmilVision」および「PolarVision」が有する従来手法(ルールベース画像処理)で求められ、出力される。
(3)UniARTS上で簡易シミュレーション
 同社グループ企業のUniARTSが提供しているクラウドサービス「UniARTS」を活用することにより、「Regulus Text」による様々な"言葉の表現"を簡単にシミュレーションすることが可能。様々な良品・不良品の特徴を「Regulus Text」で表現し、どの表現が一番、検査対象や不良内容に適しているかを測定できる。顧客の工場現場にある各種検査機から自動的に検査データ(良品画像データと不良品画像データ、および不良品画像内の欠陥領域データ)がUniARTS に集まるため、すぐに「Regulus Text」を試すことが可能となる。
■Regulusによる判定結果例
1.不良品判定例

ショート
メッキ不良
印刷不良
焼け焦げ

2.良判品定例

位置ずれ ※マーカー部分以外にも全体的にズレが起きている
部品 (抵抗)の向き違い

■「Regulus」ウェビナー開催
 2025年11月20日に「AIが“判断力”を持った!? “言葉を教える”だけの次世代AI印刷検査」と題したウェビナーを開催する。今回発表となる「Regulus」をどのようにシミュレーションし、どのように検査と連動するのかを見ていただくことができる。
 従来の画像検査では、見逃しを恐れて設定を厳しくするあまり、良品まで弾いてしまう『過検知』が常に課題であった。その解決策として、欠陥画像を種類ごとに「分類」するAIが登場し、検査の自動化と効率化に大きく貢献してきた。
 しかしその一方で、AIによる分類後の最終的な良否「判断」は数値やルールに頼らざるを得ず、『このレベルのキズは許容範囲』といった熟練者の感覚に近い領域や、学習していない未知の不良への対応には、依然として課題が残っていた。
 ウェビナーでは、こうした従来のAIの役割をさらに一歩進め、“分類”から”判断”の領域へと進化させる新しいアプローチを紹介する。AIが画像に加えて “言葉” を理解することで、まるで熟練の専門家のように「このインク滲みはNG」と総合的に判断できるようになった。大量の不良品収集はもう不要。数枚のお手本画像(良品・不良品)と言葉で教えるだけで、これまで人にしかできなかった柔軟な検査が、圧倒的なスピードで実現する。

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コンバーティングプロダクツ&テクノロジー

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