アーカイブ情報

2024/5/21

【電池セパレータフィルム用シワ測定機】カトーテック、2024年6月から一般受注開始

 電子機器・部品メーカーのカトーテックは、2024年6月より電池セパレータフィルムの「タルミ量」を測定するタルミ測定機を一般ユーザー向けに販売開始する。これまで取引実績のあるフィルムメーカーに向けて製造販売を行っていたが、公に向けて販売を強化する。

タルミ測定機について
 「タルミ量」とは、セパレータフィルムがTD方向にどのくらいのシワ(ひずみ)が起こっているのかを確認するための数値。各企業間ではそのようなシワを通称「たるみ」や「平坦度」と呼んでいる。フィルムに大きなたるみが起こってしまうと、シワを原因としてあらゆる問題(突起物の発生、電極のコーティングが不均一になるなど)を引き起こし電池の熱暴走に繋がると考えられている。そのため、セパレータフィルムの「シワ」を確認することはフィルムの安全性を保つために重要。
<使用例>
*製品品質の最終確認として
 一般的には、製造ラインでフィルムの平坦度を確認しているメーカーが多く、カトーテックのタルミ測定機では、製造後(セパレータフィルム)の最終確認として、各メーカーで規定されたタルミ量を確認し、品質管理が行われている。
*フィルム成形条件の検討材料として
 フィルム製造時の成形条件を調整する1つの検討材料として「タルミ量」を確認することができる。シワがどれくらい発生するのかを数字で確認することで、フィルム製造機の成形条件(厚み・強度等)を調整する。
*新規開発品と既存製品との品質比較
 既存製品のタルミ量を基準とし、新規開発品の成形条件の調整や出荷基準に達しているか等の確認を行う。

開発ストーリー
 1990年代より、セパレータフィルムの製造機を製造販売し、約25年セパレータフィルムに携わっている。機器は全て取引メーカーに依頼を受けて、一から設計したオーダーメイド。タルミ測定機もメーカーの依頼でフィルムの安全性を確認するため開発したことがきっかけ。取引実績のある企業間では口コミで広がり、各企業が設定した「タルミ量」も規定として作られている。リチウムイオン電池の安全性試験では、ISOやJISなど様々な規定が定められているが、より高次元での安全性や信頼性を担保するために、各メーカーにおいて規格にない独自の安全性試験を実施し、厳しい基準が設けられている。タルミ測定機も規格試験ではないが、事故を防ぐためのセパレータフィルムの品質管理の1つとして測定が実施されている。

フィルムを通紙
センサハンドルを動かし測定

今後について
 リチウムイオン電池の市場拡大に伴い、セパレータフィルム市場には新興企業が続々と参入している。カトーテックでは、セパレータフィルムを評価するタルミ測定機の他に、セパレータフィルム突刺し強度試験機も製造販売している。リチウムイオン電池の安全性や品質を評価する企業として日本や韓国・中国・アメリカ、ヨーロッパ諸国のフィルム製造業界での実績を生かし、成長が期待されるスタートアップやベンチャー企業に向けて販売を拡大する。

カテゴリー
コンバーティングプロダクツ&テクノロジー

PAGE TOP