アーカイブ情報

2024/9/12

【静電選別機】三菱電機とダイサン・、プラスチック高度選別実証機の運用開始

 三菱電機は、ダイサン・と共同で、三菱電機グループの家電リサイクル事業で長年培ってきた技術を活用した独自のプラスチック高度選別実証機を開発し、ダイサン・において運用を開始した。
 近年、循環型社会の実現に向け、資源有効利用促進法の改正や欧州 ELV 指令※1など、プラスチック再生材の利用を促進する規制の整備が進み、プラスチックリサイクルの重要性がさらに高まってきている。一方で、プラスチック製品の中には、数種類のプラスチック素材が混在しているものがあるため、より高純度で安定的に廃プラスチックを素材ごとに選別するリサイクル手法の確立が課題となっており、三菱電機はこの課題解決に向けてさまざまな分野での実証に取り組んできた※2
 今回運用を開始した実証機は、家電リサイクルの分野で長年三菱電機と協力関係にあるダイサン・が、三菱電機から技術提供を受けて製造したもので、三菱電機グループが保有する高度選別技術の1つである「静電気」を利用した選別技術を活用してる。また、同社グループの家電プラスチックリサイクル工場※3 で実際に稼働している装置と同規模の処理能力を確保することで、より実環境に近い条件下での実証を可能とした。本実証機を活用して多様な業界・分野における廃プラスチック選別の実証、課題解決に取り組み、循環型社会の実現に貢献する。

ダイサン・ 代表取締役社長 田中 知克 氏 コメント
 三菱電機とダイサン・は長年にわたって、さまざまな分野で共創をしてきました。その中でもこの度のプラスチック高度選別技術を適用した「静電選別機」は環境問題に対する貢献につながり、循環型社会の実現に向けた事業になります。三菱電機とダイサン・はさらなる共創を目指し社会貢献に挑んでまいります。

三菱電機 サステナビリティ・イノベーション本部長 小黒 誠司 コメント
 持続可能な社会の実現に向けて、プラスチックリサイクルは重要な課題と認識しています。家電リサイクル事業で長年培ってきた高度な選別技術を、ダイサン・と共に家電以外のさまざまな廃プラスチックへ展開することで、より多くのプラスチックを再生可能な資源へ転換し、循環型社会の実現に貢献していきます。

実証機の特長
1.実環境に近い条件下で多様なプラスチックの選別実証が可能
・三菱電機グループの家電プラスチックリサイクル工場で実際に稼働している静電選別装置と同規模の毎時 200kg での処理能力を確保
・プラスチックの素材が異なれば、多くの場合、摩擦帯電傾向に何らかの差が生じるという静電気の性質を活かし、黒色のプラスチックやフィルム状のプラスチックなども含む多様なプラスチックを選別

2.独自の電極構造により高純度・高回収率を実現
・対向する電極をあえて異なる形状にすることで、選別対象プラスチックへの高い電界の印加を可能とし、当社従来比で約 1.5 倍の回収率改善を実現
・電極に自動清掃機能を備え、電極端部の電界を緩和する工夫を施したことで、異常放電の発生を抑制し安定性の高い静電選別を実現

3.DX への拡張が可能
・静電選別に影響する因子をセンシング可能な「センサ」と、センシングデータを解析し仕切り位置や電圧の最適化を行う「AI」を搭載可能とする拡張性を兼備。これにより、原料変動に応じたリアルタイムでの選別条件の最適化や、オペレーションノウハウ不要で常時最高効率の静電選別を実現する「スマート静電選別(静電選別の DX)」の実装が可能

今後の予定・将来展望
 多様な業界・分野において廃プラスチック選別の実証、課題解決に取り組み、プラスチック高度選別装置の製品化と 2025 年度の受注開始を目指す。また、プラスチック選別情報とオペレーションノウハウを DX 化したソリューション(RaaS:Recycle as a Service)のサービス展開も推進する。

※1 ELV 指令(End-of-Life Vehicle Directive):EU が制定した自動車の廃棄に関する指令
※2 2022 年 12 月 21 日広報発表 https://www.MitsubishiElectric.co.jp/news/2022/pdf/1221-a.pdf
2023 年 7 月 20 日広報発表 https://www.MitsubishiElectric.co.jp/news/2023/pdf/0720.pdf
※3 グリーンサイクルシステムズ(千葉県千葉市)http://www.gc-s.co.jp/

カテゴリー
news
コンバーティングニュース

PAGE TOP