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2025/9/29

【食用油劣化抑制フィルター】日本精工、量産開発完了。食用油の寿命を最大3割延長、ろ過作業負担も軽減

 日本精工(NSK)は、揚げ物調理等に使われる食用油の寿命を延長し、食品加工メーカー・飲食店などの食用油購入コスト削減に貢献する、ろ過機向け食用油劣化抑制フィルターの開発を2015年から推進してきた。2024年夏以降、国内大手食品加工メーカー複数社への試験販売を進めてきたが、この度、効果検証を終え、量産開発を完了した。油の劣化を抑制する添加剤をフィルター内に付着(担持)させた仕様となっており、揚げかすなどの除去と同時に、食用油の劣化を抑制するフィルターの実用化は世界初*1。今後、さらなる性能向上にも取り組みつつ、ろ過機を持たないコンビニエンスストアやスーパーマーケット、弁当・惣菜店を含めた小売業などの顧客への導入検討などビジネスの拡大を目指す。

今回量産開発が完了した食用油劣化抑制フィルター(写真:右)、同フィルター内に付着させた添加剤(写真:左)


<使用例>食品加工メーカー工場(写真:左)、食用油ろ過機(イラスト:右)
<使用例>飲食店の厨房用電気フライヤー(写真:左)、食用油ろ過機(イラスト:右)

開発の背景
 NSKは、現中期経営計画で「Bearings & Beyond」を掲げ、新商品・新事業の拡大に取り組んでいる。この製品は、NSKが軸受開発で培った潤滑剤の劣化抑制技術を応用し、2015年から開発を開始。2022年には「FOOMA JAPAN」に出展し、市場ニーズ調査を実施。その結果、食用油の劣化抑制効果の向上や、油交換の作業効率化のニーズが高まっていることが判明。これらのニーズを踏まえ、社内および顧客での性能評価に基づき改良を重ねた結果、効果検証を終え、量産開発の完了に至った。
製品の概要
(1)フィルター内部の繊維表面に、添加剤を付着(担持)させた仕様。
(2)本製品で食用油をろ過することで、繊維表層で揚げかすなどの異物を除去すると同時に、添加剤で酸化劣化物も除去する。

本製品の構造 電子顕微鏡写真(写真:左)、劣化抑制作用イメージ(イラスト:右)

製品の特長
(1)食用油の寿命を最大3割延長
 本製品で食用油をろ過することで、既存の市販フィルター使用時に比べて食用油の寿命を最大3割延長*1可能であることを確認。例えば、これまで3日に1回油を交換していたところを、4日に1回の回数に減らせる可能性がある。その結果、食品加工メーカー・飲食店などの食用油購入量およびその購入費用削減に貢献する。また、使用済み食用油廃棄量の削減を通じて環境保全にも貢献する。
(2)繊維表面に添加剤を付着(担持)させた仕様で、ろ過作業負担を軽減
 食用油の劣化物を除去する従来手法の一例としては、ろ過助剤と呼ばれる粉体を使用する方法があるが、油を吸って重量が増した粉体の回収に伴う作業負担や飛散した粉体の吸引といった健康リスクがある。本製品は、油劣化抑制機能を持つ添加剤をフィルター内部に担持させた構造の実現により、従来の粉体を使用した際の健康リスクを軽減する。
(3)安全性の高い材料を採用
 添加剤には食品添加物を使用。またフィルターは、厚生労働省が定める食品・添加物等の規格基準である材質・溶出試験を参考とした自主基準をクリアしており、食品安全面において安心して使える。

*1 調査対象:市販されている食用油ろ過機向けフィルター、調査時期:2025年9月時点、NSK調べ
*2 社内評価結果や国内大手食品加工メーカーにおける検証結果に基づくものであり、調理物や油の種類その他使用環境により寿命延長効果に差が生じる場合がある、NSK調べ
■本製品の購入やその他(サイズなど)に関する問い合わせ先
 日本精工株式会社 技術開発本部 コア技術研究開発センター
 fooma[a]nsk.com
 送信時には、[a]を@に変えてください。

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コンバーティングプロダクツ&テクノロジー

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