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2024/11/7
【香りに特化した分析システム】島津製作所、岩手大学と「アロマデザイナー」開発
島津製作所は岩手大学の宮崎雅雄教授との共同研究を通じて、香り(香気)分析に特化したガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)システム「アロマデザイナー」を開発した。同システムは、食品や香料などの香気に含まれる様々な成分を簡便に特定でき、迅速な香気評価を実現っする。分析の手間を省き属人性を排除することで、食品・香料・化粧品の研究開発や品質管理を支援する。
現在、島津製作所の共同研究者や飲料メーカーなどに特注品を提供しており、そのフィードバックを経て2年以内の正式発売を目指す。
植物をはじめとする天然物が発する香気や、それらに似せて作られた香料は、数十から数百もの成分から構成されている。「食品や香料の開発」「異臭の原因究明」「動物のフェロモンなど生理活性物質の研究」では、香気を特徴づける成分の簡便な分析手法が求められている。従来の手法であるオミッション法※では、香気中の成分を単体に分け、その中から香気に影響を与える重要な成分を推定するが、時間がかかるという課題があった。また、香気の形成に重要な成分を特定することは難しく、「各成分が全体の香気にどの程度影響を与えるか」を評価するのは困難であった。
「アロマデザイナー」は、ガスクロマトグラフ(GC)、質量分析計(MS)、および香気回収装置から構成されている。GCで分離した成分をMSと香気回収装置に分岐させ、抜き取りたい成分群をMS側に送り、残りをバッグに回収する。回収した香気は被験者が官能評価を行い、対象の成分群の影響度合いを確認する。抜き取る成分群を絞り込むことで、香気を特徴づける成分の特定も可能。島津製作所は、今後も様々な分析計測技術を通じて、ライフサイエンスにおける研究開発に貢献していく。
※複数の香料を調合してある香気を再現する際に、すべての香気成分を含む試料と、一成分を除いた試料を作り、嗅ぎ比べることで香気の変化を評価し、香気の構成に重要な成分を同定する分析手法
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