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2024/7/3

【高性能帯電防止剤用イオン液体】第一工業製薬、事業拡大

第一工業製薬のイオン液体

 第一工業製薬は、自社保有のPFAS*1非該当構造のイオン液体*2技術を基に高性能帯電防止剤での事業拡大に向けて、効率的な材料提案の手法や少量多品種対応への生産プロセス開発の取り組みを強化する。
 近年、需要が増加しているディスプレイ部材では大型化、高画質、高性能化が求められる傾向にある。ディスプレイ部材には静電気は深刻な問題とされており、その原因となる帯電を抑制するために高性能帯電防止剤が必要となる。一方、昨今さまざまな分野や用途で使用されてきたPFASは、一部の物質で難分解性や生物蓄積性を問題視され、欧米を中心に規制強化の動きが進んでいる。
 第一工業製薬では、PFASに該当しない構造のビス(フルオロスルホニル)イミド (FSI)系イオン液体「エレクセルASシリーズ、MPシリーズ」を保有・製品化しており、少量添加でも性能を十分発揮する高性能帯電防止剤として、主に光学材料分野で好評を得ている。

エレクセルASシリーズ一例

 現在、イオン液体の構造的特徴を数値化、独自のデータベース作成により効率的な材料提案を開始している。また、バッチ製造とは異なり品種の切り替えが容易なフローリアクター*3の適用による少量多品種対応への生産プロセス開発の取り組みを強化している。さらに、脱フッ素化の国際的な動きに対応するため非フッ素系での材料開発も並行して進めている。
 これらの取り組みにより、高性能帯電防止剤用イオン液体の事業拡大を図り、2030年度には15億円の売上規模を目指す。
*1 PFAS (ピーファス)
 ペルフルオロアルキル化合物、ポリフルオロアルキル化合物で、4,700種類以上の人工的に合成された有機フッ素化合物群の総称。
*2 イオン液体
 イオンのみ (アニオン、カチオン)から構成される化合物。一般的に融解温度が100 ℃以下の塩。
*3 フローリアクター
 原料を細い管型の反応器に流しながら連続的に合成を行い、高純度の反応物を効率よく生成する小型反応装置。

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