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2026/3/31
【高精度・ナノ積層フィルム技術】東レ、日本化学会化学技術賞受賞
東レは、これまでコア技術であるポリマー分子設計、フィルム光学設計、高精度装置製作、延伸製膜プロセス技術を結集・深化させることで、独自の高精度・ナノ積層フィルム技術を確立してきた。さらに、同技術を基盤として、光干渉反射機能を備えるナノ積層フィルムPICASUS 1)を開発・工業化し、幅広い分野での社会実装を進めてきた。これら一連の技術開発および実用化に向けた取り組みが顕著な業績として評価され、このたび日本化学会から「第74回(2025年度)化学技術賞」を受賞した。

ナノ積層構造による光反射特性を実現するためには、屈折率の異なるポリマー層を1nm単位の超高精度で数百層から千層規模にわたり積層する必要がある。しかし、従来の工業的製法では、光学機能の実現に不可欠な積層層厚みの高い再現性や、大面積での積層均一性を十分に確保できない課題があった。
東レは、要素技術である流動性および光学特性を考慮したポリマー分子設計、光学理論とシミュレーション計算に基づくフィルム光学設計、ポリマー流動解析と金属精密加工による高精度装置製作、延伸製膜プロセス技術を融合・高度化することで、従来の工業的製法では実現困難であった高精度・ナノ積層フィルム技術を確立した。
また、同技術を基盤として多層光学干渉を利用したナノ積層フィルムPICASUSを創出した。PICASUSは、紫外域から可視域、近赤外域に至るまでの特定波長帯域を選択的に反射する光制御技術を有するとともに、オールポリマー構成による優れた成形性を備えることから、意匠用途やディスプレイ用途など、幅広い分野において実用化が進んでいる。
さらに近年、モビリティ分野では電動化や自動運転技術の進展を背景に、車内空間の快適性向上や、高度で視認性の高い情報表示に対するニーズが高まっている。こうしたニーズに応えるため、ナノ積層技術をさらに深化させ、独自の光学設計に基づいた高透明・高遮熱フィルムPICASUS®IRやHUD2)用途に好適な正面透過・斜め反射フィルムPICASUS®VTなど、世界初の光学機能を有するポリマー材料を開発しました。電波透過性にも優れるセンサーフレンドリーな材料として、モビリティ用途への展開を進めている。
東レは今後も、「有機合成化学」、「高分子化学」、「バイオテクノロジー」そして「ナノテクノロジー」という東レのコア技術を駆使して、社会を本質的に変える力のある革新的な素材の研究・技術開発を推進することで、創業以来の東レグループ企業理念である「私たちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の具現化に取り組んでいく考えだ。
<ご参考>
- 関連プレスリリース
ナノ積層フィルムPICASUS®IR
https://www.toray.co.jp/news/article.html?contentId=y2erfhvw
https://www.toray.co.jp/news/article.html?contentId=x6tsymf4
ナノ積層フィルムPICASUS®VT
https://www.toray.co.jp/news/article.html?contentId=5oxj9j80
- PICASUS(読み:ピカサス):
ナノメートルスケールの厚み制御が可能な東レ独自のナノ積層技術を駆使したポリエステルフィルムの総称。
製品サイト:https://www.films.toray/products/picasus/ - HUD (ヘッドアップディスプレイ):
ドライバーが視線を下げずに運転に必要な情報を確認できるようにするために、視界内に映像を直接表示するディスプレイ技術。
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