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2025/8/7
【高速液体クロマトグラフ質量分析計】島津製作所、PFAS分析市場向けに「LCMS-8065XE」発売
島津製作所はトリプル四重極型高速液体クロマトグラフ質量分析計「LCMS-8065XE」を国内外で発売した。この製品は同社製のトリプル四重極(TQ)型液体クロマトグラフ質量分析計(LCMS)の基本性能を引き継ぎながら、さらに感度と頑健性を向上させた。同社はこの製品を主にPFAS分析向けに販売し、急速に需要が拡大するPFAS分析市場の深耕を図る。

PFAS(有機フッ素化合物)は、その撥水性や耐熱性、耐油性により、包装紙などの日用品から半導体などの工業製品まで幅広く使われている。一方、PFASは自然環境では分解されない「永遠の化学物質」として知られ、土壌や水源に残留したものは水質や生態系に影響を及ぼす。特に1万種以上の物質があるPFASのうちPFOSやPFOAは、がんや内分泌かく乱などの健康リスクを高めるため、国際的な関心が寄せられている。アメリカでは各州が厳格な規制を施行しており、EUでも2026年までに基準値の規制が強化される予定。特に飲料水中のPFAS許容基準は厳しく、ppt(1兆分の1)レベルまで検出限界の引き下げが求められるなど、年々拡大するPFAS分析市場において高感度で多成分一斉分析ができる分析機器の需要が高まっている。
「LCMS-8065XE」は、島津製作所が誇る超高速測定技術である「UF Technologies」に、イオン源の改良や検出器の最適化を施したことで、感度性能を大幅に向上させた。PFAS分析メソッドや解析ソフトウェアを組み合わせたトータルソリューションを提供するほか、最新のユーザー支援技術によりラボと環境の負荷を低減する。島津製作所は同製品を通じて、社会価値創生領域と捉えるヘルスケアやグリーン分野における高感度PFAS分析ニーズに応えていく。
「LCMS-8065XE」の特長は次の通り。
(1)新開発された技術により、分析性能を大幅に向上
従来機種に搭載していた「IonFocus」機能※1に加え、ESIイオン源に新デザインの「StreamFocus」を採用。試料を噴出するノズル径を絞ることでスプレーの広がりを抑制し、より高い効率でイオンを質量分析計に取り込める。また、入口レンズ径を拡大しレンズ枚数も追加した新型コリジョンセル※2の導入により、透過するイオン量を増やして感度を高めた。
※1 流体解析・電場解析技術を活用してイオンを効率的に質量分析計に取り込み、高感度と頑健性を実現する当社独自のイオン源
※2 質量分析の過程でイオンに衝突を与えて、さらに分解させたり特定の情報を得るための装置
(2)PFAS分析に必要とされるトータルソリューションを提供
島津製作所はLCMSだけでなく、分析メソッドや解析ソフト、カラムやバイアルなどの消耗品といった幅広いラインアップを有している。トータルソリューション「FluoroSuite」として、顧客それぞれのPFAS分析ニーズに応じた提案を行う。
(3)最新のユーザー支援技術によりラボの運用効率を向上
AI機能「パフォーマンス・コンシェルジュ」は、装置の状態を自動診断し最適な状態での分析をサポートする。また、装置自らが使用状況をモニタリングし自動でシャットダウンをする「エコロジーモード」を搭載しており、消費電力を従来比約3割削減する。
希望販売価格は7150万円~(税込み、システム構成により異なる)、販売目標は発売後1年間に国内外合わせて70台。
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