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2024/11/26

【鮮度保持】エア・ウォーター、極低温技術を利用した青果物の「急速冷却システム」開発

 エア・ウォーターは、産業ガス事業で培った極低温技術と液体窒素の冷熱を利用して青果物等を急速に冷却できるシステムを開発した。今後、協力いただける産地や事業者にて鮮度保持の実証試験を開始する。

「急速冷却システム」開発の経緯、目的
 エア・ウォーターグループは、スマート農業技術や加工・物流機能の強みを活かした新たなビジネスモデルの創出を通じて、地域農業の振興、食料自給率の向上、食品ロス低減などSDGs達成に向けた取り組みを進めている。
 近年の地球温暖化に伴う気候変動は、青果物の収穫にも大きな影響を及ぼしており、特に夏場の高温は収穫後の青果物を劣化させ、鮮度を落とす主要因となっている。鮮度を保持するには収穫した青果物をなるべく早く冷却し、青果物そのものの呼吸を抑制することが重要。設備の整った一部の産地では集荷場に固定式の予冷設備を備え、生産者から運ばれてくる青果物を予冷したのち保冷車で出荷するケースがあるが、設備が高額であるにも関わらず稼働時期は収穫時期に限られ、また年間を通して高い電気代を負担しなければならない※という産地での課題があった。
 同社は祖業である産業ガス事業に加えて、青果物の栽培、流通、加工、販売を行うアグリ&フーズ事業やコールドチェーンを担う物流事業をグループ内に有することで、上記のような青果物の鮮度保持に関わる現場の課題を自らの経験として把握してきた。また、それら課題の解決のために、液体窒素の冷熱、極低温技術など、グループ事業が保有する豊富な経営資源を融合、有効活用することで今回の急速冷却システムを開発した。
※電気式冷凍機がフルパワーで稼働する期間が、年間の電力の基本料金を決定する最大需要電力となるため

「急速冷却システム」の特長
 今回開発した急速冷却システムは、グループ会社であるエア・ウォーター北海道・産業ガスの極低温技術を活用し、液体窒素の冷熱を短時間で効率的に青果物に供給できる可搬式装置。
 液体窒素式の場合、簡単な構造でマイナス196℃での蒸発潜熱と顕熱による大きな冷熱を供給することができる。この冷熱の活用により従来の機械式冷凍機では8時間かかる冷却時間が1時間まで短縮できたことを実験にて確認している。
 また、本システムは可搬式のため、酷暑期間中に小売店舗等のバックヤードでの一時的な仮設冷蔵庫としての活用も可能。

「急速冷却ユニット」外観図 
「急速冷却ユニット」外観写真

今後について
 エア・ウォーターでは新開発したこの急速冷却システムを複数基作成し、協力いただける産地や流通事業者を募集して実際に運用することで、本システムの効果を確認する実証試験を開始する。品種や収穫時期ごとに異なる青果物の鮮度保持条件を最適化してレシピとすることで、本システムの利用を拡大していく。
 将来的には急速冷却システムの自社運用だけでなく、産地の要望に応じた本システムのレンタルや青果物流通企業への販売のほか、急速冷却システム向け液体窒素の販売、産地予冷を活かした海外への国産青果物の輸出、鮮度の良い原料を用いた高級食材への加工といった幅広い事業展開を目指していく。

 同社は、グループ内にさまざまな事業を持つ強みを活かしたシナジーを創出することで、新鮮な食材を消費者にお届けして健康増進をサポートし、鮮度保持によって食品ロスをできる限り抑えるなど、社会課題の解決に取り組んでいく。

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