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2025/1/10
【2軸延伸PPシート製造機】エフピコ、新OPPシート製造機を独Brückner社に発注
エフピコは、2024年4月30日に公表した高剛性2軸延伸ポリプロピレンシート(新OPPシート)の製造装置であるLISIMをBrückner Maschinenbau GmbH(ブルックナーマシネンバウ社、以下「Brückner社」)に正式発注した。
新OPPシートの開発に当たり、同社は過去10年にわたり、ドイツに有るBrückner社の試験機で大規模な研究とテストを実施してきた。このパートナーシップのもと、同社の素材技術とBrückner社の同時延伸技術であるLISIMの最適な組合せが新OPPシート開発の成功として結実した。
一般的に2軸延伸ポリプロピレンフィルムは、主に食品用軟包装資材用途として厚さ30μmから50μmで使用されている。今回当社が開発した新OPPシートは、150μmから300μmであり、2軸延伸ポリプロピレンフィルムの5倍から6倍の厚さとなる。この新OPPシートは、食品容器用シートとして、優れた透明性、耐熱性、耐寒性や耐油性のみならず、極低温から高温まで幅広い温度域における剛性と耐衝撃性の高い物性バランスを発現している。
これらの特徴を活用することで、これまでにない食品容器の開発が可能になるとともに、食品容器以外の様々な産業分野での利用の可能性も広がった。
例えばインモールドラベル成形(以下「IML成形」)において、従来の複合素材からなる加飾シートを新OPPへ置換した上で射出樹脂にPPを使用することにより、これまでのIML成形と比較して同程度の機械強度を維持しつつ成形品に使われる樹脂量を約20%程度減少(同社試算)させ、プラスチック使用量の削減や成形品の軽量化に寄与することなど、大きな可能性が広がる製品とる。
環境面においてもPPが主素材である新OPPシートは、モノマテリアル化の実現によりリサイクル性が大きく向上すること、また従来のPPシートよりも高い透明性が得られることから印刷による塗装工程の省略に貢献することで、VOC規制※1対応も可能となるため、環境適性の優れた製品となる。
さらに、新OPPシートを熱融着し、1ミリから3ミリ程度の積層シートにすることで、高い剛性と耐衝撃性、高靱性に富み、従来のPPシートより高い透明性を保持できることから加飾性に優れ、またアルミ並みの線膨張係数により、鉄鋼板、アルミ鋼板、FRP※2、ポリカーボネートシート、CFRP※3の一部代替としての用途展開の可能性が広がった。
以上の通り、新OPPシートは食品容器のみならず、自動車、住設、建設、太陽電池、物流資材等の幅広い産業分野などにおいて高い評価を頂いており、幅広い分野での用途展開の可能性を期待されている。
同社グループは、2027年の後半にLISIMの稼働開始を目標に、茨城県坂東市に新工場建設を検討している。新OPPシートの幅広い分野での事業展開を進めていくために、関連産業とのアライアンスを含めたマーケティングを検討しており、具体的な事業計画、投資内容は決定次第、発表される。
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