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2025/9/2
【2025 国際ロボット展】日本精工と人機一体、iREX2025に向けて「アクティブキャスタPalGo高荷重タイプ」の共同開発プロジェクト加速。デザイナーである根津孝太氏を迎えキックオフ実施
日本精工(NSK)と人機一体は、重量物の搬送と全方向移動の両立を目指した「アクティブキャスタPalGoTM 高荷重タイプ」(以下「PalGo 高荷重タイプ」)の共同開発プロジェクトを2024年3月より進めてきたが、この度、人機一体の高所重作業対応汎用人型重機「零式人機」シリーズなどのデザインを担当するクリエイティブコミュニケーター・プロダクトデザイナーであり、znug designの根津孝太氏を同プロジェクトに迎え、2025年12月に東京ビッグサイトにて開催される「2025 国際ロボット展[iREX2025]」での展示に向けたキックオフを実施した。


プロジェクトの背景
アクティブキャスタPalGoTMは、NSKで開発されたロボットやモビリティ向けの駆動ユニットであり、前後左右、回転も含めた自由な動き(全方向移動)を実現することが最大の特徴。2022年の国際ロボット展においてコンセプトモデルを初出展、その後2024年4月にNSKが医療現場の負担軽減を目的として実用化した搬送アシストロボットMOOVOTM(ムーボ)に搭載されたことで初めて市場投入された。PalGo(Pal:相棒、Go:駆動、前進)という商品名には人とロボットの共存に役立つユニットになってほしいという気持ちが込められている。
一方、人機一体では倉庫内などの狭小空間に対応し、重量物搬送に耐えうる全方向移動ユニットを探索していた。このような背景から、両社のニーズが重なり、2024年3月よりアクティブキャスタPalGoTMの高荷重対応化に向けた共同開発を開始した。
人機一体のデザインシステムを実装
PalGo 高荷重タイプの製品化・実用化を推進するため、零式人機などのデザインを担当する根津孝太氏をプロジェクトに迎えた。同氏はコンセプトスケッチおよびデザインマネジメントを担当する。
機械設計・意匠デザインにおいては、人機一体が「零式人機」シリーズで根津氏と共同で培ったデザインシステムを採用し、「力の流れの可視化」をコンセプトに、駆動・旋回機構の動きを外装意匠として表現する。クリエイティブな視点から機能の可視化と意匠性と両立した「機能美」を実現し、「重量物の搬送を、もっと自在に」というコンセプトをデザインとして具現化していく。

デザインコンセプト
・inside out:内部の美しいメカを魅せる・差動の力の流れを可視化
・差動を生むベベルギアを、象徴的なモチーフとしてグラフィカルに表現
・アイコニックさ・キャラクター性を感じさせる、塊感のあるただずまい
PalGo高荷重タイプには2基のモータの差動機構による駆動機能と旋回機能が搭載されており、そこで生まれる「力の流れ」を、視覚的に象徴するオレンジのラインで外装上に表現する。これにより、駆動・旋回の自在な制御性能がひと目で伝わる「機能美」を実現するデザインを目指す。

キックオフの様子

・コンセプトスケッチの披露、iREX2025に向けてのディスカッション
znug design 根津孝太 氏から、人機一体のデザインシステムを元にしたPalGo高荷重タイプのコンセプトをスケッチが披露された。コンセプトスケッチからイメージを膨らませ、iREX2025での展示方法やブース、詳細のデザインの作り込みについて議論を行なった。
今後の展開:iREX2025 にて共同展示を実施
両社は、2025年12月に東京ビッグサイトにて開催されるiREX2025に出展する。東7ホールにて共同での展示を計画している。詳細は2025年11月頃に改めて発表予定。
各社からのコメント

株式会社人機一体 知財開発部 野村方哉氏
狭い空間で重量物を安全かつ自由自在に搬送したいというテーマに対して、高重量物に対応した PalGo 高荷重タイプの開発を NSK と進めてまいりました。設計段階から共同で進めていく中で、差動機構はまさに人機一体が行なっている「力を自在に操ること」に通ずるものがあると感じています。これまで 零式人機 ver.2.0 をはじめ、znug design 根津孝太 様と「力の流れ」をオレンジラインを用いて表現してきました。このデザインシステムを実装することで、PalGo 高荷重タイプのモータから差動変速機、そして車輪への「力の流れ」として表現し形にしていきたいと思います。

有限会社znug design 根津孝太氏
高品質と信頼性で世の中の「うごく」を支え続けてきた NSK と、フィジカルな苦役を無用とすることを理念とする人機一体のコラボレーションは、次代を動かすものになると確信しています。そこにデザイナーとして参画させていただくことを大変うれしく思います。アクティブキャスタ PalGoTM 高荷重タイプは、その中核となるメカニズムの美しさにも特筆すべきものがあります。今回のデザインでは、その秘められた美しさを可視化することに力点を置き、両社の架け橋となるような造形を目指します。

日本精工株式会社 技術開発本部 新領域商品開発センター
近藤大介氏
NSKはこれまで培った技術をロボティクスの分野に応用し、社会課題の解決を目指しています。今回、「あまねく世界からフィジカルな苦役を無用とする。」という人機一体のミッションに共感し共同開発を開始しました。このプロジェクトを通じて当社技術が社会実装されより安全・安全な社会の実現に貢献できればと考えております。また、iREX2025 に向けてアクティブキャスタPalGoTMの機能がデザインによって可視化されるのを非常に楽しみにしております。
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