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2025/9/24
【AI】東洋紡、製造工程の異常を“予兆”で捉えるシステムをJR西日本と共同開発
東洋紡は、西日本旅客鉄道(JR西日本)と共同で、製造ラインにおける異常の兆候をリアルタイムで検知・解析し、原因予測を可能とするAIシステムを新たに開発した。
同システムは、JR西日本が鉄道設備向けに開発した故障予測AI技術と、同社独自の異常検知・解析技術を融合したもの。異常の予兆を捉えた段階からメンテナンスを実施することができ、生産ロスの削減や復旧時間の短縮に貢献する。

同社は2020年より、JR西日本が推進する、鉄道の枠を超えてさまざまな社会課題の解決を目指す「アウトバウンド型オープンイノベーション」の取り組みに参画している。2023年には、JR西日本が開発した「AI検品ソリューション」を導入し、同社グループが製造するスパンボンド不織布の検品作業を画像解析によって効率化するなど、製造現場の業務改善に向けた連携を推進してきた。
新たな取り組みとして共同開発したのは、JR西日本の自動改札機故障予測AI技術を製造分野に応用した、製造工程における異常の兆候を予兆段階で検知するAIシステム。これまでは発見が難しかった製造工程における故障や品質不良につながるさまざまな工程値のばらつきといった微細な変化を、AIを活用することにより予兆段階でリアルタイムに検知する。さらにその変化を、同社が独自に開発した異常検知・解析技術を使って分析し、結果を分かりやすく表示する。これにより熟練者でなくても予測される原因の推定や早期メンテナンスの是非などの判断ができるようにした。従来は工程値が正常範囲を逸脱するか、もしくは異常発生後にオペレーターが対応にあたっていたが、同AIシステムを使えば工程値が正常範囲にある段階からでも不具合の予兆検知が可能になる。早期にメンテナンスを実施することで、予期せぬ生産ラインの停止や不良品の発生を未然に防ぐことができるため、生産効率の向上に貢献する。
実際に、同AIシステムを導入している同社つるがフイルム工場(福井県敦賀市)では、AIが検知した異常8件に対し予兆段階で早期の要因特定とアクション、予防保全を実施した。これは、同AIシステムの導入以前、異常値の検知や異常発生後に対応した場合と比較して、10時間以上の復旧作業時間削減に貢献し、生産ロス発生を防いだことにる。

同社は今後、つるがフイルム工場に続き、他の生産拠点へも本AIシステムを展開するとともに、各工場の生産工程で発生する各種不具合に対して、過去の事例をもとに最適な対処法を提案可能な新たなAI機能の開発などを計画している。積極的にAIを活用することで、設備の安定稼働と生産効率の向上を図りながら、現場におけるスタッフの作業負担を軽減できる先端的な製造環境の実現に取り組んでいく。
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