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2024/2/29

【AI】MAZIN、射出成形の材料選定支援。ELV規則対応に向け定量評価手法を提供

 MAZINは、材料のロットばらつきを定量評価するアルゴリズムの提供を開始した。欧州委員会が公表する自動車設計・廃車(End-of-Life Vehicles:ELV)管理に関する規則案等で注目される、ポストコンシューマリサイクル(PCR)樹脂等のリサイクル材等について、ロット間ばらつきの定量評価および選定支援が可能。
 2023年7月13日に欧州委員会は、自動車設計・廃車(End-of-Life Vehicles:ELV)管理に関する規則案を公表した。ELVは、新車の製造において使用されるプラスチックの25%をリサイクル材で賄うことを義務付けており、このうち、廃車由来は25%と定める等の内容も含んでいる。
 リサイクル材の活用は、資源の循環を促進し環境負荷を減少させることに寄与するが、ロットごとのばらつきが大きいため、安定した生産のハードルとなっている。
 ばらつきの大きな樹脂を選定してしまうと、それに伴って成形条件を調整する手間が大きくなり、成形品質にも影響を及ぼす。安定した連続生産実現のために、適切な材料選定が重要なステップとなっている。

 MAZINは、製造現場から得られるセンシングデータを活用し、生産異常検知や生産条件の補正を行う先進的なアルゴリズムの開発に取り組んでいる。
 射出成形プロセスにおけるリサイクル材の活用においては、ロットのばらつきを定量化し、適切な材料選定を支援している。
 市場に出回る前の段階で発生する工場の端材などを再利用したPre-Industrial-Recycled(PIR)プラスチックと消費者が使用後に回収されるPost-Consumer-Recycled(PCR)プラスチックの2種類が存在する。
 ELV管理に関する規則案にもあるように、一層の環境配慮から、工場内の端材等に由来するPIRではなく、PCRプラスチックの使用が推奨されている。一方で、PCRは市場に出回り、回収された様々な製品が由来のため、品質にばらつきが生じやすくなる傾向にある。

 上記グラフは、同一品種の異なるロットの樹脂を成形した際に得られたデータを元に、同社アルゴリズムが抽出した特徴量で形成するクラスタ。ロットごとに異なるクラスタを形成していることが確認できる。
 このケースでは、ロットが変わるたびに成形品質の一貫性が損なわれる可能性が高いと考えられる。
 このようにロットごとのばらつき具合を定量評価することで、ロットのばらつきが少ない材料選定が可能。リサイクル材を用いた安定成形を実現する一助となる。
 MAZINでは、上記技術のほかに樹脂粘度の推定等、成形現場で生じる各種課題の解決を目指すアルゴリズムの開発を行っている。今後、これら技術をベースにした国内外の射出成形機メーカーやセンサメーカーとの連携を拡大していく。

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コンバーティングプロダクツ&テクノロジー

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