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2024/10/22
【AM】SUBARUコンセプトカーの部品製造にHP 3Dプリンティングソリューションが採用
日本HPは、SUBARUが今年1月に開催された東京オートサロン2024に出展したコンセプトカー「SUBARU LEGACY OUTBACK BOOSTGEAR PACKAGE」の部品の製造に、HP Jet Fusion 3Dプリンティングソリューションが採用されたことを明らかにした。部品はSUBARUとDMM.comの3Dプリント事業部「DMM.make 3Dプリント」が共同で開発、製造した。
SUBARUは、東京オートサロン2024に出展するコンセプトカー「SUBARU LEGACY OUTBACK BOOSTGEAR PACKAGE」の新たな部品を開発するにあたり、製造における様々な課題の解決に加え、将来を見据えた新たな車のあり方を検討していた。自動車業界における部品開発の課題は、金型製造や物流による負荷など多岐にわたる。部品を作るには専用の型を作らなければならず、型抜き方向も考慮しなければならないため、デザインが制限されるのが一般的でカスタマイズや少量多品種の部品開発がしにくいという側面もある。また、工場で製造した部品の在庫管理の他、輸送によるコストやCO2排出などの課題もあった。
コンセプトカーに名付けられた「BOOSTGEAR」とは、ユーザーがこれまで行けなかったところに行ったり、やれなかったことをやるための「あと押し」を意味し、遊び心がある意匠部品のデザインを通じて、車との新しい関わり方を提案するもの。新たに作る部品は将来的に実装できるものを想定していたため、それに耐えうる強度と量産性を両立する製造方法としてHP独自のMulti Jet Fusionテクノロジーを搭載したHP Jet Fusion 3Dプリンティングソリューションが採用された。
HP Jet Fusion 3Dプリンティングソリューションを活用することで金型が必要なくなり、その特性をいかした形状の部品を限られた時間の中で開発することができた。材料には、今回の部品の耐熱性、耐候性の面で希望物性を満たし、強度も持ち合わせているHP 3D High Reusability PA12(ナイロン12)が採用された。また、HP Jet Fusion 3Dプリンターは、最大80%という高い材料リサイクル率を実現するなど、環境に優しい製造方法という特長に加え、3Dデータを送るだけでどこでも部品を造形することができるため、将来的に製造した部品の在庫を抱える必要がなく、物流面での負荷も大幅に軽減できる。
DMM.make 3Dプリントの豊富な経験とHP Jet Fusion 3Dプリンターのスピーディな製造技術により、東京オートサロン2024開催までの限られた時間の中で、オーバーフェンダーに着脱可能な以下の4種類の部品を製造した。
<各社のコメント>
■SUBARU
部品用品本部 アクセサリー企画部 デザイングループ 主査 須崎 兼則 氏
我々自動車デザイナーはいつも金型に制約があり、部品の分割などに悩まされてきました。しかし、3Dプリンティングを使うことで、抜き方向の角度やパーティングラインの見栄えなどすべての問題から解放され、造形の自由度が今までより飛躍的に高まりました。我々はお客様に愉しさをこれまで以上に提供するために、多品種少量生産に向いている3Dプリンティングを積極的に採用していきたいと考えております。
■DMM.com
エンターテインメント&EC本部 3Dプリント事業部 セールスマネージャー 井上 悠 氏
今回は東京オートサロンに出展する自動車パーツの造形であり、試作からパーツ完成までの時間が非常に限られていたことから、精度と品質の高さ、造形スピードの速さを強みとしているHP Multi Jet Fusionテクノロジーを採用しました。今後もHPの力を借りながら、活用事例の拡大を進めていければと思います。
■日本HP
代表取締役 社長執行役員 岡戸 伸樹 氏
世界では、様々な業界で、柔軟なデザイン設計、製品開発のスピードの加速、そして持続可能な製造に3Dプリンティングの力を活用しています。今回、HPの3Dプリンティング技術であるMulti Jet FusionプラットフォームがSUBARUの自動車部品に採用されたことを大変うれしく思います。日本HPはこれからも、国内のパートナーやお客様と協力し、業界のニーズに応える最新のソリューションを提供していきます。
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