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2025/8/28

【AWARD】旭化成、「テラヘルツ分光によるポリエチレンの分子量推定法」の開発により電気学会「基礎・材料・共通部門」の論文賞受賞

 旭化成の、「テラヘルツ分光※によるポリエチレンの分子量推定法」の開発における研究成果が、電気学会の「令和7年 基礎・材料・共通部門」において、論文賞を受賞した。同技術は、溶剤を用いず・サンプルに触れず・約1分という短時間でポリエチレンの分子量を測定する手法であり、ポリエチレンの研究開発や生産現場における品質管理の効率化に貢献するもの。なお、本研究成果に関する受賞講演を、2025年9月4日に芝浦工業大学豊洲キャンパスで開催される電気学会の同部門大会にて行う。

背景と課題

 ポリエチレンは、食品包装材や医療器具、日用品などに幅広く使われている。その性能は、分子量によって大きく変わるため、製造現場では、分子量を正確に測ることが品質管理や製品開発に不可欠となっている。
 従来の測定手法では、サンプルを溶剤に溶かし、数時間かけて測定する必要があり、研究・開発・製造の現場の負荷が大きいことが課題であった。
 旭化成も工場における樹脂製品開発の効率化を目的として、水島製造所で製造するポリエチレンの研究開発や生産管理の過程で、より手軽かつ迅速な分子量測定の必要性を感じており、これを解決する新たな手法の開発に取り組んできた。

研究成果の概要

 本成果は、テラヘルツ波と呼ばれる特殊な電磁波を活用し、ポリエチレンの分子量を非接触・短時間で推定できる新しい測定法。さらにサンプルを溶かす必要がないため溶媒が不要となる。
 この手法では、ポリエチレンにテラヘルツ波を照射し、反射や透過の度合いを測定することで、分子量に応じた吸収具合(=スペクトル)の違いを捉える。これにより得られたデータを数理的に処理することで、サンプルに触れず、わずか1分程度で分子量を推定できるようになった。従来法と比べて測定の簡便化と高速化が図られ、研究・開発の迅速化だけでなく、製造現場における品質管理の高度化にもつながると期待されている。

測定のイメージ図
ポリエチレンの分子量とテラヘルツ(THz)吸収係数スペクトル
検量モデルにおける実測値と推定値との相関

 この研究成果が、電気学術の進歩向上に寄与すると電気学会により評価された。
 旭化成は今後、本技術の実用化を進め、ポリエチレンをはじめとするさまざまな樹脂および樹脂製品の開発について効率化(スマートラボ化等)を図るとともに、生産現場における品質管理技術の高度化を図ることで、より高機能・高品質な製品供給の推進を通じて社会に貢献していく。
※テラヘルツ分光:およそ0.1~30THz(波数3~999cm-1)の電磁波(テラヘルツ波)を用いて、物質の分子構造や状態を非破壊で分析する分光技術

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