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2025/3/31
【CO₂分離回収】JCCL×東洋製罐グループホールディングス×三井物産プラスチック、3社共同の取り組みを開始
JCCL、東洋製罐グループホールディングス、三井物産プラスチックは、カーボンニュートラル社会実現に向けて、JCCLが保有するCO₂分離回収技術の早期社会実装を加速させるため、3社共同の取り組みを進めることに合意した。

■取り組みの概要・背景
2050年のカーボンニュートラル社会実現に向けて、CO₂を分離回収する技術が注目されている。九州大学発スタートアップのJCCLは、1社で2種類のCO₂分離回収技術を保有していることに強みがある。重油や都市ガスなどの燃焼後排ガスから省エネルギーでCO₂を分離回収する技術と、大気中から直接CO₂を分離回収できる技術(Direct Air Capture、以下「DAC」)の2つを組み合わせることで、一気通貫で大気中の低濃度CO₂を純度97-99%という高濃度な状態で、従来の技術に比べて低コストかつ高効率で回収することが可能。
このたび、環境負荷の低減を目指し、JCCLが保有する省エネルギー型CO₂分離回収技術を早期に社会実装するため、東洋製罐グループが包装容器の製造で培ってきた技術力および三井物産プラスチックの販売網等を活用し、共同で取り組みを開始する。
【JCCLのCO₂分離回収技術について】
JCCLのCO₂分離回収技術は、未利用排熱の有効活用と回収時にかかるコストの低減、またアミン揮発・流出による環境汚染のリスクがないという利点を持っている。
未利用排熱の有効活用が可能:
・JCCLの吸収材である「アミン含有ゲル」は、排ガス中のCO₂を高効率に吸収するだけでなく、40~60℃の低温蒸気を供給するだけで吸収したCO₂を容易に脱着・回収できる。そのため、工場等から出る未利用排熱の有効活用が可能。
回収時にかかるコストの低減:
・従来の燃焼後排ガスからのCO₂回収技術では、1日に数百サイクル以上吸収と再生を繰り返すため大量のエネルギーが必要だった。対してJCCLの技術は、「アミン含有ゲル」を使用することにより温度は一定のまま低圧蒸気により回収が可能なため、熱エネルギーが節減されることで、回収エネルギーを従来比1/4程度まで抑制可能。
・水分の影響を受けにくく、相対湿度が高い環境でより性能を発揮する特長があるため、吸収材を乾燥させる必要がなく、コストと時間を省くことができる。
アミン揮発・流出のリスクなし:
・「アミン含有ゲル」という高分子ゲルを吸収材としているため、従来の吸収液や固体吸収剤で懸念されているアミンの揮発・流出による環境汚染のリスクがない。
■取り組みにおける各社の役割

■今後の計画・展望
2025年度から東洋製罐グループの東洋鋼鈑株式会社 下松事業所において、小型回収装置(VPSA1)を用いた設備運用の実証実験を行う。この実証実験を通じて、各種材料の耐久性評価や現場目線での設備最適化、設備量産に向けた技術開発を進めていく。その検証結果をもとに、2025年度に小型装置(CO₂回収能力:30kg/日)、2026年度にコンテナ型CO₂回収装置(CO₂回収能力:300-500kg/日)の社会実装に取り組む。並行して、省エネルギー型のDACについては、2025年度内の実証実験開始に向けた開発も進める。
併せて、回収したCO₂の利活用に向けた取り組みも他パートナー企業と連携を開始している。
3社は、省エネルギー型のCO₂分離回収プロセスおよび回収CO₂の利活用モデルの早期社会実装に向けて一体となって取り組むことで、2050年のカーボンニュートラル社会実現に貢献していく。
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