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2024/7/10

【CO2回収】ノリタケ、DAC用多孔質部材「SUPCA」を開発

 ノリタケカンパニーリミテド(以下、ノリタケ)は、大気中のCO2を直接回収するDAC (Direct Air Capture)用多孔質部材「SUPCA (サプカ)」を開発した。SUPCAは、内部の吸着材※1にCO2吸収液を保持させることにより、CO2を吸収・脱離し回収する機能を有するもので、原料の一部には、CO2排出を抑えて製造されたバイオマス原料を採用している。

開発の背景

SUPCA


 カーボンニュートラルが求められている中、DAC技術は、大気中にわずか0.04%しか存在しないCO2を効率的に回収する性能が重要である。そのため、CO2を回収するための部材としては、CO2を速く吸収することや、圧力損失を下げて低いエネルギーで大気を処理できるものが求められている。
 また、一般的な吸着材には、主に合成原料が使用されているが、製造時のCO2排出量が多いという課題がある。

「SUPCA」について
 SUPCAは、特殊構造の有機物に無機物の粒子 (マイクロサイズの吸着材)を複合させる独自技術を活用し開発した製品。吸着材は、CO2との接触面積が大きく、CO2の吸収が速いことが特徴である。これにより、効率的にCO2を回収することが可能。また、SUPCAの原料の一部には、CO2排出を抑えて製造されたバイオマス原料を採用している。今後は、再生原料の採用も進め、環境配慮に向けた開発を進める。

【SUPCAと従来品 (ビーズ状の吸着材) の性能比較】
 表1:CO2吸収液を保持させ、同量のCO2を吸収した場合の相対比較

SUPCAの利用方法の例


① CO2の吸収が速い理由

・単位体積当たりの吸着材とCO2の接触面積が大きい。
・吸着材の直径が小さいため、CO2が内部に速く行き渡る。

② エネルギー消費量が少ない理由
   気体の流れやすさ※4が従来品に比べて10倍。
   大気を送風しSUPCAと接触させる際のエネルギー消費量が少ない。

 さらに、利便性が高く、利用方法が幅広い。
柔軟性があり加工が容易。さまざまな形状で利用することができる。

SUPCAがCO2を吸収する仕組み
※1 CO2吸収液を保持するための吸着材。
※2 測定条件:吸着材は、CO2の飽和吸収量が同じになる量を用いて、 (CO2飽和吸収量) ÷ (CO2の吸収開始から飽和までの時間) の数値で比較。
※3 CO2を吸収し、脱離・回収するまでの一連の装置のトータルエネルギーを試算。 (システムメーカーによる試算)
※4 圧力損失で比較。圧力損失とは、流体が流路を通る際に失う圧力。入口と出口の総圧の差が小さいと圧力損失が低いと言える。

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