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2024/2/29

【CO2排出削減】BASFとIRRI、イネの栽培システムにおけるカーボンフットプリント削減に向け提携

 BASFとInternational Rice Research Institute(IRRI:国際稲研究所、本部:フィリピン・ラグナ州ロスバニョス)は、イネの栽培システムにより排出される温室効果ガス(GHG)を削減するための科学的提携を結んだ。
 「OPTIMA Rice(Optimizing Management for Reduction of GHG in Rice)」と名付けられたIRRIとの取り組みは、2030年までに作物生産量1トン当たりのCO2e(二酸化炭素換算値)排出量を30%削減するというBASFの目標を支えるもの。この共同での取り組みは、フィリピンの複数の稲作シーズンにわたって計画されており、両組織のイネ研究拠点があるラグナ州で実施される予定。
 イネは、世界で最も幅広く生産されている五大穀物*1 の1つであり、毎日約 30億人*2 が消費している。イネは世界中で栽培されているが、アジアで最も多く生産されている。しかし、その地理的な広がりと典型的な水稲耕作の手法ゆえに、農業場面における温室効果ガス総排出量の約10%*3 を世界の水稲生産が占め、これは主に、水稲が継続的に湛水することが原因と考えられている。このようにカーボンフットプリントが大きいため、イネの栽培システムは農作物生産の中でGHG排出量を削減できる可能性が最も高いと推定されている*4
 これを受けて、BASFとIRRIは、イネ栽培システムにおける気候変動に配慮した農業に関連する、複数のトピックについて調査する予定。これには、直播イネの品種、窒素固定剤、施肥・残渣管理、それぞれのイネ生産者にテーラーメイドした新しい防除ソリューション、交互湿潤乾燥管理(AWD)のような水削減技術などが含まれる。さらにIRRIは、GHG排出量を推定するための新しい計算アルゴリズムを含む、生態生理学モデル ORYZA(オリザ)を本プ ロ ジ ェ ク トに適用するため、さらなる改良に着手した。BASFは自社のAgBalance™(アグバランス)ツールを使用してGHG排出強度を推定し、IRRIと協力して自社製品のフィールドテストを行い、質の高い農業データとGHGデータを取得する予定。
 BASFとIRRIはともに、フィリピンをはじめとするアジアのイネ生産地域における、イネの気候変動緩和と適応策に関する科学的理解を深めるモデルをさらに開発し、適用することを目指している。最終的には、イネ生産者の生産システムにおける脱炭素化を支援することを目標にしている。
 BASFアグロソリューション事業本部のグローバルマーケティング担当シニアバイスプレジデントである Marko Grozdanovic(マルコ・グロズダノビッチ)氏は次のように述べている。
 「農業における炭素排出量削減に向けて大きな前進を遂げるには、新しいテクノロジーやツールをどのように組み合わせれば、より気候変動に配慮した農業を実践できるかを評価する必要があります。イネという主要作物には大幅な炭素削減の可能性があるため、私たちはIRRIのイネ生産システムに関する専門知識活用を通じて連携していきます」
 IRRIのリサーチディレクターであり、持続可能なインパクト部門を率いるBas Bouman氏は、次のように述べている。
 「今回の提携は、メタンやその他の温室効果ガス削減のための大きなチャンスをもたらし、農業者の価値を創造し、アジア、とりわけフィリピンにおけるイネの生産性向上に貢献することでしょう」。
*1 https://www.fao.org/3/cc3751en/cc3751en.pdf (英語)
*2 https://www.fao.org/3/X2243T/x2243t08.htm (英語)
*3 https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0167880916304200?fr=RR2&ref=pdf_download&rr=8435b75e0f54bbbb (英語)
*4 https://cfpub.epa.gov/ghgdata/nonco2/usreports/#page1 (英語)

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