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2024/12/6
【COP29】IGES、パリ協定第6条の完全運用化の実現について決定事項の概要説明や主要決定事項の詳細公表
地球環境戦略研究機関(IGES)が事務局を務める「パリ協定6条実施パートナーシップ(Paris Agreement Article 6 Implementation Partnership: A6IP)センター」は、11月11日~24日 にアゼルバイジャン・バクーで開催された国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第29回締約国会議(COP29)およびパリ協定第6回締約国会合(CMA6)において合意されたパリ協定第6条(6条)完全運用化について、決定事項の概要説明や主要決定事項の詳細をまとめた資料を環境省および経済産業省とともに公表した。
2016年に発効したパリ協定は、様々なルールが各国合意の下で取り決められ、2020年から本格運用が開始されている。その中で、国際協力の仕組み(市場メカニズム)を規定する6条については一部交渉が続けられていた。COP29では、パリ協定ルールブック最後のピースとなっていた6条の詳細ルールに関する交渉が完了し、ついに完全運用化についての合意がなされた。これにより、日本の二国間クレジット制度(JCM)など、6条に基づく温室効果ガスの排出削減および吸収・除去対策に取り組む国際協力の拡大・加速が期待される。
今回のCOP29およびCMA6では主に下記のルールが規定されたことにより、6条に関する交渉が完結した。
<クレジット使用の承認・報告に関する事項>
*削減・除去の量をクレジット化(ITMOs)し分配する際に必要な政府による承認のプロセスや項目、様式、それらの公開方法、承認の変更についての要件や対応などの明確化
*国連を通じた報告(初期報告、年次情報など)の要素についての解説や様式
<登録簿に関する事項>
*クレジットの記録・報告に用いる登録簿について、参加国の登録簿と6条4項メカニズム登録簿の任意の接続
*登録簿に関する能力開発支援の実施
<6条4項のメカニズムに関する基準類の整備>
*方法論の作成・評価の要件を定める基準
*吸収・除去活動に関する要件を定める基準
今回の合意分を含め、これまで決まった6条のルール(ガイダンス)は2028年に見直し(レビュー)が行われる予定。レビューの適切な実施のためには、市場メカニズムを通じた気候変動対策について知見や教訓を引き続き蓄積していく必要がある。A6IPセンターでは、これらの活動を通じて、6条の仕組みに基づいた国際協力の取り組みの拡大に貢献していく。
■パリ協定6条実施パートナーシップ(A6IP)センターについて
2022年のCOP27において、日本の環境省が主導してパリ協定6条に関する能力構築を支援するA6IPを立ち上げた。また、2023年4月のG7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合を機に、6条に基づく質の高い炭素市場の早期かつ着実な構築に向けて、各国政府関係者および関係事業者などの体制整備や能力構築の促進を目的としてA6IPセンターが設立され、IGESがその事務局を務めている。2024年12月現在、81カ国、100以上の機関がパートナーシップに参加している。A6IPセンターでは今後COP29/CMA6で採択された最新のルールに基づき、UNFCCC事務局や世界銀行といった国際機関等と連携し、各国のニーズに応じた能力構築支援をより強化していく。
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