アーカイブ情報
2024/3/15
【DACCS】東京ガスと住友商事、大気中のCO2直接回収・貯留に関する事業可能性調査の共同実施
東京ガスと住友商事は、2024年3月14日、大気中のCO2直接回収・貯留(DACCS*1)について、事業可能性調査の共同実施に関する覚書を締結した。
IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)などの試算では、カーボンニュートラルを実現するためには、DACCSなどのネガティブエミッション*2技術の活用により、2050 年に年間で最大100 億トンのCO2除去が必要とされている。
日本においても、2023年に経済産業省が「ネガティブエミッション市場創出に向けた検討会」を設置し、国内外の技術開発やビジネス動向を整理・分析した上で、今後の方向性やルール形成等の市場創出に向けた方針の議論・検討を行うなど、近年ネガティブエミッション技術は国内外で注目を集めている。
また、ネガティブエミッション技術を活用して発行される世界のカーボンクレジット市場は、2022年の21億ドルから2030年には800億ドルまで成長することが予測*3されている。
東京ガスと住友商事は、2023年に大気中のCO2直接回収(DAC*4)技術を有する米国ベンチャー企業に出資*5するなど、早期からDAC技術の活用検討に取り組んできた。
本調査では、東京ガスの有するDAC技術やプラントエンジニアリングの知見・ノウハウと住友商事がグローバルに展開するCCSを含めた、次世代エネルギービジネスに関するネットワーク・知見をかけ合わせることで、北米をはじめとした貯留適地の選定や国内外のDAC技術評価を行うなど、共同でDACCSの事業可能性検討を推進し、将来に向けた共同事業の創出を目指す。
今後、DACCSの社会実装および普及拡大を図り、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していく。
■東京ガスのカーボンニュートラル化の取り組み
東京ガスは、グループ経営ビジョン「Compass2030」にて「CO2ネット・ゼロへの挑戦」を掲げ、カーボンニュートラル化に向けた技術開発を進めている。DAC技術に関しても、DACCSをはじめとしたCO2の回収・利用・貯留(CCUS*6)に活用することで、CO2ネット・ゼロをリードし、政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」の実現に貢献していく。
■住友商事のカーボンニュートラル化の取り組み
住友商事グループは、「2050年の事業活動のカーボンニュートラル化と持続可能なエネルギーサイクル実現への挑戦」を長期目標に掲げ気候変動緩和に取り組んでいる。CCUSはその重要な手段の1つと捉えており、日本をはじめ欧米やAPAC・中東において「CO2分離・回収」「輸送・貯留」「利活用」の事業開発に取り組んでいる。DACCSやバイオエネルギーから発生するCO2の回収・貯留(BECCS)などのネガティブエミッション技術を活用したCO2除去クレジットの創出・販売にも取り組むことで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していく。
*1 Direct Air Capture with Carbon Storageの略称
*2 大気中からCO2を除去する等により正味としてマイナスのCO2排出を実現すること
*3 Carbon removals: How to scale a new gigaton industry (2023年12月McKinsey 発表)
*4 Direct Air Captureの略称
*5 先進的DAC技術を有する米国グローバルサーモスタット社への出資および協業について(2023年1月19日東京ガス発表)、DAC技術開発のパイオニア企業への出資とCCUS分野での共同事業開発について(2023年5月30日住友商事発表)
*6 Carbon dioxide Capture, Utilization and Storageの略称
- カテゴリー
- コンバーティングニュース