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2026/3/2

【FHE】サトーと桜井グラフィックシステムズ、ミクロン銅粉を用いたRFID回路印刷で業務提。銀・銅ナノ材料を使わない新技術を2026年度下期に実用化

 サトー桜井グラフィックシステムズは、サトーが2025年11月に発表※1した、ミクロンサイズの銅粉を用いた導電性ペーストによる印刷方式のRFIDアンテナ製造技術について、量産体制構築と事業化に向け、2026年1月末より業務提携を開始した。
 この提携により両社は、サトーの新技術と、桜井グラフィックシステムズが有する高精度なスクリーン印刷技術および試作・量産対応力を融合させ、RFIDアンテナをはじめとするプリンテッドエレクトロニクス※2製品への展開と、2026年度下期の実用化を推進する。
※1  2025年11月発表内容:https://www.sato-global.com/ja/news/release/2025/20251112/
※2  プリンテッドエレクトロニクス:印刷技術を使って基板上に電子回路や素子を形成する技術。

RFIDアンテナ製造の潮流と、サトーの新印刷技術
 現在、RFIDアンテナの製造には、アルミ箔を薬液で溶かすエッチング工法や、型で打ち抜く工法が主流。しかし、これらの工法では不要部分のアルミ廃棄が発生するほか、薬液洗浄などにより大量の廃液が生じるため、環境負荷の高さが課題となっている。こうした中、国内外のRFIDメーカー各社は、紙やプラスチックフィルムなど柔軟性を持つ基板上に印刷で電子回路を形成する「フレキシブル・ハイブリッド・エレクトロニクス(FHE)技術」に注目し、アンテナ製造への適用を推進している。印刷方式は、材料ロスや薬液使用量を抑えられるため、環境負荷の低減が見込まれる。
 この潮流を踏まえ、サトーはFHE技術に着目して研究開発を進めた結果、ミクロンサイズの銅粉を導電性ペーストに活用し、印刷によってRFIDアンテナの回路を形成する新技術の開発に成功した。

銀や銅ナノ粒子を使わず、導電材料の低コスト化と高性能を両立
 FHE技術によるRFIDアンテナや電子回路の製造は、導電材料として銀ペーストの使用が主流。銅ナノ粒子を用いた技術も存在するが、いずれも材料価格が高く、今後も価格上昇が見込まれている。
 これに対し、新技術で活用するミクロンサイズの銅粉は、産業用に広く流通しているため安定的な調達が可能。銀ペーストや銅ナノペーストに比べ、材料の大幅な低コスト化が見込めるほか、高い導電性と量産適性を両立する。これにより、品質および製造コストの安定化を実現できる技術として優位性を有している。

業務提携の狙い
 桜井グラフィックシステムズは、プリンテッドエレクトロニクスの主要な製造装置であるスクリーン印刷機(シリンダー型全自動スクリーン印刷機)で世界的に高いシェアを誇り、エレクトロニクスから自動車、建材、バイオ・メディカル、さらにはサステナブル素材形成までも支えている企業。同社はスクリーン印刷機本体の開発・販売に加え、「モノからサービスへ」の企業コンセプトを軸に周辺設備との統合や新規開発製品の試作から量産受託まで一気通貫で対応可能という強みがある。
 今回の提携により、サトーの新技術と桜井グラフィックシステムズの印刷・量産技術を融合し、実用化に直結する製造基盤を確立し、RFID製造や他分野での活用を視野に入れた本格的な事業化を進めていく。

今後の展開
 両社は2026年度下期に、ミクロンサイズ銅粉を活用したRFIDアンテナの生産ラインを立ち上げ、実用化を図る。 将来的には、真贋判定やリアルタイム追跡など、サプライチェーン全体で個品管理と情報活用を可能にするスマートラベルや、温度・湿度などを検知するセンサー一体型RFIDなどへの展開を見据えている。
 さらに、フレキシブルディスプレイ、センサー、ウェアラブルデバイス、太陽電池などへの応用を視野に入れ、他企業との協業を積極的に推進し、次世代エレクトロニクスの発展と持続可能な社会の実現に貢献していく。

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