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2024/11/20

【FPC】住友電気工業、フレキシブルプリント回路製造時の排水からレアメタルを回収。ディーピーエスと契約締結

 住友電気工業ディーピーエス(以下「DPS社」)と、フレキシブルプリント回路(FPC)製造工程で使用される希少金属(レアメタル)の回収事業に関する契約を11月8日に締結した。
 FPCの製造工程では、層状に形成された回路を互いに通電させるための銅めっきや、外部との接続部を表面処理するための金めっきなど、多くのめっき処理が行われている。これらのめっき処理を効率よく行うための触媒として、レアメタルであるパラジウム(Pd)が多く使用されており、FPC表面に付着したPdを含む薬液を洗浄工程にて洗い流す際に、従来は微量のPdが回収できず洗浄排水として処理されている事が課題となっていた。
 先般より「アジアビジネス創出プラットフォーム*¹」を通じ、DPS社より住友電気工業ベトナムのFPC製造拠点*²に対し、同社の独自構造のシリカゲル「DualPore(TM)(デュアルポア)」の応用によって超低濃度で排水に含まれたPdを吸着・回収する技術提案を受け、検証の結果、今回採用を決定した。
 また、この回収されたPdを日本国内の金属精錬業者に売却するスキームを確立することで、原価低減を推進するとともに、レアメタルであるPdの国際資源循環や採掘・精錬に伴う環境負荷低減に貢献することが可能となる。

回収事業の流れ

 現在、他のFPC製造拠点およびFPC以外の製造工程にもDPS社の技術の応用を検討している。今後とも、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーなど、サステナブルな社会の実現に向けた取り組みを推進していく。
 DPS社の白社長は次のようにコメントしている。
 「FPC製造をはじめとした最先端生産技術を持つ住友電工での現場試験を経て、このたび、正式採用されたことは、当社DualPore(TM)技術がPd回収のみならず幅広く生産技術としての応用の可能性も評価いただいたと受け止めています。また今回の取り組みは、希少金属等の貴重資源の国際循環手段として、DualPore(TM)により希薄濃度液体から濃縮固定化し日本国内へ循環輸送するモデルケースといえます。今回の取り組みを機に鉱物資源に乏しいわが国の発展にさらに貢献できればと思います」
*1 アジアビジネス創出プラットフォーム(ABCプラットフォーム)
 “アジア・日本におけるビジネスの創出、経済の活性化”を目的に、企業・団体間における人材、技術、サービス等の連携を促進し、ビジネス創出、経済活性化につなげる取り組み。関西経済連合会とASEAN7カ国(インドネシア・マレーシア・ミャンマー・フィリピン・シンガポール・タイ・ベトナム)の経済団体が連携し、2019年4月に設立した。 
*2 SEI Electronic Components (Vietnam), Ltd.

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