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2024/9/27

【GX】エボニック、新たなイノベーション戦略で15億ユーロの追加売上を目指す

 エボニック インダストリーズ(本社:ドイツ、エッセン 以下「エボニック」)は、業界におけるグリーントランスフォーメーション(GX)を推進している。今回策定した新たなイノベーション戦略では、サステナビリティ対応の強化を掲げ、研究開発活動の大部分を3つの新しいイノベーション成長分野に集中することで、2023年と比較して2032年までに15億ユーロの追加売上を目指している。
 取締役会副会長のハラルド・シュヴァーガー(Harald Schwager)氏は、「エボニックの新しいイノベーション戦略は、サステナブルな製品やソリューションが、どのように当社の今後の成長を強力に支え、同時にお客様のエコロジカル・フットプリント削減にどう貢献していくかを提示しています」と述べている。
 新たなイノベーション成長分野では、
 「バイオ由来ソリューション」う
 「エネルギー転換」
 「循環型経済」
にフォーカスしている。
 チーフイノベーションオフィサーを務めるラルフ・マルクワルト(Ralph Marquardt)氏は、「エボニックの技術で、価値ある未来を作っていきます。この3つのイノベーション成長分野は、当社の事業に密接に関連するサステナビリティのトレンドに対応しています」と述べている。
 「高精度バイオソリューション(Advance Precision Biosolutions)」では、エボニックの科学者がバイオテクノロジーを駆使して、健康と生活の質の向上、エネルギーや資源の使用削減、生態系の保護に寄与するソリューションを開発している。その中にはラムノリピッドのような最新のバイオサーファクタントも含まれる。エボニックは2024年5月、スロバキアでこの新たなバイオサーファクタントを工業規模で生産する世界初の工場を稼働させた。また、ラムノリピッドの他分野への応用の開発も進めている。
 「エネルギー転換促進(Accelerate Energy Transition)」には、二酸化炭素をプロセスから出る排気ガスや直接空気から回収するソリューションなど、エネルギー転換を加速する技術を結集している。また、オーストリアのシェルフリングでは、バイオメタンなどのガスを浄化する分離膜を製造している。同工場は2023年にすでに拡張が完了し、現在、新たな拡張工事を行っている。さらに水素製造用の分離膜に関連したソリューションの研究も行っている。
 「サーキュラーエコノミーの実現(Enable Circular Economy)」には、エボニックが取り組む循環型経済の実現に向けた全研究プロジェクトを統合している。この分野では、材料サイクル構築のサポートを目的とし、顧客の循環型経済への移行を可能にする。例えば、高度な触媒リサイクル技術や、ポリウレタンやゴムのリサイクルを向上させるソリューションなどが挙げられる。
 マルクワルト氏は、「研究開発はすでに当社の成長に大きく寄与しており、この傾向は新しい成長分野にも引き継がれるでしょう」と述べている。新たなイノベーション成長分野は、エボニックが2015年に策定し、これまでに取り組んできたイノベーション成長分野の成功を基盤としている。
 従来のイノベーション成長分野では、ヘルスケア、化粧品、積層造形(アディティブマニュファクチャリング)向けの持続可能なソリューションなどに取り組むことで、10年以内に10億ユーロの追加売上を目指してきた。2023年には、すでに6.5億ユーロを上回る追加売上を実現している。シュヴァーガー氏は、「近年の激動を考慮すると、これは好成績であり、今後につなげることができるものです。世界的なパンデミック、ヨーロッパ内での侵攻など、9年前には誰も予想していなかった出来事が起きました。このような前例のない困難に直面したにもかかわらず、目標に近づけたということは、当社が適切なテーマに注力したことを証明しています」と述べている。
 2023年、エボニックは厳しい経済状況下にありながら、研究開発費を前年並みの4.43億ユーロに据え置いた。このうちの一部はエボニックの戦略的研究部門およびビジネス・インキュベーターであるクレアビス(Creavis)に割り当てられたが、大半は化学品部門の研究に費やされた。2023年の売上高に対し研究開発費の占める割合は、2.9%となった。
 エボニックにとって、イノベーションとサステナビリティは未来志向のビジネスモデルの根幹をなす要素。そのため、自社だけでなく顧客の活動においてもGXの推進に大きく貢献できるよう、引き続き研究開発に注力する。

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