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2024/5/13

【LIB】三菱電機、月周回有人拠点「ゲートウェイ」向け宇宙用受注

 三菱電機は、宇宙航空研究開発機構（JAXA）から、月周回有人拠点「Gateway（ゲートウェイ）」向けの宇宙用LIB（リチウムイオンバッテリー）を新たに受注した。
　米国が主導する月面探査プログラム「アルテミス計画（Artemis Program）」では、「月探査協力に関する文部科学省と米航空宇宙局の共同宣言」（※1）に基づき、日本の貢献分野として、ゲートウェイ居住棟への機器（バッテリー等）の提供に向けた協力について合意されている。三菱電機の宇宙用LIBは、HTV-X（※2）の開発・製造で培った有人安全要求（※3）を満足する高性能な機能を有しており、高度な技術と国内外の衛星向けに多くの納入実績を持ち、それら全てが正常に運用されていることで高い信頼性が評価され、今回の受注に至った。アルテミス計画における同社の宇宙用LIBの受注は、居住・ロジスティクス拠点Habitation and Logistics Outpost（HALO）向け、国際居住棟International Habitation Module（I-Hab）向けに続いて3例目であり、これまで日本が担当した全ての宇宙用LIBの製造を同社が担当している。
　また三菱電機は、Maxar Space Systems（本社：米国 コロラド州）から、同社が開発を担当するゲートウェイの電気・推進エレメントPower and Propulsion Element（PPE）向けにも、LIBセルを受注し納入している。
　三菱電機は今後も、長年培った宇宙用電源機器技術を最大限に活用し、アルテミス計画に貢献していく。
　三菱電機製宇宙用LIBの特長は次の通り。
1．ロケット打上げ環境や万が一の故障を想定した構造・設計により、宇宙空間で必要とされる耐性・機能を確保
　・ロケットでの打上げ時の強い振動と、ロケットから衛星を切り離す時に起こる衝撃、真空・放射線環境、排熱等を考慮し、局所的な応力集中を緩和するシェルフレーム構造（※4）を採用、また、エネルギー密度の高い長楕円円筒形の大容量セルを効率的に個別で実装し、内部温度を均一化することで、機械耐性と熱耐性を確保
　・宇宙船の搭乗員の安全を守るための有人安全要求を満足する設計により、万が一搭載部品の故障に対応するための保護機能を保有
2．モジュール性を考慮した構造とすることで、拡張性を実現
 ・衛星搭載用バッテリーに要求される大電力、大容量化の需要に対応するため、複数のLIBセルのラインアップから使用するセルの種類・数を最適化することで、衛星が必要とする電力・容量に応じてバッテリーの構成を変更可能
 ・バッテリーのセル数の増加に対して、LIB内のシェルフレームを支えるシャシーの連結数を増やすことで拡張性を実現し、モジュール性を考慮した構造を採用
3．長期間の衛星運用を可能とする技術で高い信頼性を実現
 ・同社独自のバイパススイッチを採用、バッテリーセルが万が一開放故障した場合でもバッテリーの充放電経路を確保することで、バッテリー機能を維持
 ・2005年以降、海外衛星向けに300台以上の納入実績があり、全て正常に動作し続けている宇宙用LIB製造での知見や経験を活用した技術で高い信頼性を実現
　今回受注したLIBの概要は次の通り。
外形寸法（W×D×H）：623×245×359mm
重量：61.4kg
主な構成：190Ah LIBセル、バイパススイッチ
設計寿命：15年以上

※1 2020年7月10日に日本と米国の間で署名されたアルテミス計画に関する共同宣言
※2 H-II Transfer Vehicle（宇宙ステーション補給機「こうのとり」）の意志を受け継ぐ次世代の無人補給船で、国際宇宙ステーション（ISS）等へ食料・水などの物資や機材を届ける目的と、技術実証のためのプラットフォームとして活用する目的を持つ
※3 有人宇宙活動に使用される宇宙機等に対して適用され、搭乗する宇宙飛行士の安全を確保するため、特有の仕様条件が求められる
※4 バッテリー内のセルをシャシーで区切り、個別実装したバッテリー構造。セル同士が個別実装されることで、振動・衝撃・熱等への耐性や拡張性に優れている

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