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2024/6/20

【Packaging】大日本印刷、柔軟な包材設計と環境配慮を両立させた医薬品経口剤向け吸湿包材の提供開始

 大日本印刷(DNP)は、水分を吸収する「吸湿剤」をフィルム樹脂に混ぜて練り合わせることで、パッケージ内部の湿度を一定に管理することができる経口剤向けの「DNP吸湿包材」の提供を開始する。
 DNPが長年培ったパッケージ関連の仕様設計のノウハウを活かし、従来のDNP製の吸湿包材より約30%薄くして使い勝手を向上させ、経口剤の分包に適した製品とした。パッケージ内部に乾燥剤を入れる必要がなくなるため、より柔軟な形状の設計が可能になり、また包装全体の省資源化にもつながる。

「DNP吸湿包材」のイメージ

開発背景
 近年、医薬品の輸出入が増加する中で、その品質管理の重要性が高まっている。特に経口剤は水分に弱く、湿気によって品質が劣化しやすいため、従来はパッケージ内に乾燥剤を入れる必要があった。今回開発した「DNP吸湿包材」は吸湿剤を樹脂に混ぜて煉り合せたフィルムを材料にしているため、乾燥剤を入れなくても経口剤への効果的な湿気対策を実現する。

経口剤向け「DNP吸湿包材」の特長
(1)水分に弱い経口剤の品質保持に向けて、内容物に適したパッケージ形態の実現が可能
 使用するフィルム自体に吸湿性を付与するため、乾燥剤を封入できない小さなパッケージの内部も水分から守ることができる。小さい経口剤の分包等に適しているほか、医療用センサーの外装材、体外診断用医薬品キット、スティック包装(細粒医薬品包装)など、多様なパッケージ形態に対応し、内容物の品質を長期にわたって維持できる。
(2)吸湿フィルムの薄層化による開封性の向上
 従来のDNPの吸湿包材用フィルムの厚みを70%程度まで薄くすること(約30%の薄層化)で、より小さい力で開封できるなど、使い勝手も向上させた。また、ハサミ等を使わずに手で切れるような材料選定をするなど、製品設計を工夫することで、より良好な開封性等を付与できる。
(3)各種材料の使用量削減や植物由来材料の使用により環境負荷の低減にも貢献
 DNPはパッケージ製品の環境負荷低減に向けて、石油由来ではなく植物由来の原料を一部に使用したバイオマスのプラスチックやインキの活用を進めている。その一環で、バイオマスPETフィルムを使用して「DNP吸湿包材」を製造することで、従来のDNP製品と比べて、CO2排出量を約10%削減(同社調べ)できる。また、乾燥剤を入れる空間をパッケージ内部に確保する必要がないため、内容物に最適な寸法の包材の製造が可能で、各種材料の使用量削減にもつながる。

今後の展開
 DNPは、製薬会社・医療用検査試薬メーカー・医療機器メーカー等に「DNP吸湿包材」を提供して、関連製品・サービスも含めて、2028年までに5億円の売上を目指す。また、多様な医療用パッケージに適応した吸湿包材を開発していく。
 なおDNPは、2024年6月26日~28日に東京ビッグサイトで開催される「第26回インターフェックスジャパン[医薬品][化粧品]製造展」のDNPブース(21-46)で今回の開発製品を紹介する。

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