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2024/7/10
【Packaging】東洋製罐とUACJ、温室効果ガス排出量を4割削減する次世代の飲料缶蓋「EcoEnd」生産体制構築完了
東洋製罐グループホールディングスの連結子会社である東洋製罐は、UACJと共同で開発※1した、温室効果ガス(GHG)排出量を現行品に比べて約4割削減した飲料缶用の蓋「EcoEnd™」について、このたび、UACJにおける蓋材の生産体制の構築とリサイクル原料の調達対応、また、東洋製罐石岡工場における蓋製造設備対応を整えたことで、「EcoEnd™」生産体制の構築を完了した。今後は、量産の準備を進めていく。
<「EcoEnd™」の特徴>
1.GHG排出量の大幅な削減
原材料製造時のGHG排出量がアルミ新地金の約3%である、リサイクル原料の使用量を大幅に引き上げたことでGHG排出量の大幅な削減を実現した。現行の飲料缶蓋と比較し、10億枚当たりのGHG排出量が約1.3万t※2削減される。東洋製罐が国内で販売する飲料缶蓋がすべて「EcoEnd™」に置き換わった場合、年間約14万t※3削減される見込み。
2.多くのリサイクル原料が循環使用される、新たなアルミ循環フローを提案
缶蓋と缶胴では、求められるアルミニウムの強度などの特性が異なるため、缶蓋には一定量の新地金を投入し、成分調整をする必要がある。「EcoEnd™」の素材は、新地金を減らし、使用済み飲料缶(UBC:Used Beverage Can)などのリサイクル原料の割合を増やすことで缶胴の成分に近づくため、溶解する時点では「EcoEnd™」と缶胴の素材は同じ「モノマテリアル」とみなすことができる。溶解後、成分調整を行い、「EcoEnd™」と缶胴それぞれの素材に造り分けることにより、従来どおり缶蓋と缶胴の特性の差を持たせることが可能となる。
「EcoEnd™」の開発により、従前は困難であった、多くのリサイクル原料を缶蓋にも循環させることが溶解後の成分調整と製造技術の工夫により実現可能となった。今後は蓋にもより多くのリサイクル原料が循環使用されることとなり、新地金の使用量削減にともなうGHG排出量削減が期待される。「EcoEnd™」により実現される新しいアルミ材循環フローは、以下の通り。
3.蓋の厚みが変わらないため充填ラインの設備変更不要
缶蓋材において、リサイクル原料の使用量を増やすために缶胴材と同一にすると軟質となるため、強度不足分を補うために一般的には蓋を厚くする必要がある。
「EcoEnd™」は、UACJによる材料製造技術と東洋製罐による蓋成形技術を新たに組み合わせることで、リサイクル原料の使用量を増やした場合においても現行蓋と同等の品質性能をもたせることを実現した。蓋の厚みに変更がない※4ため、飲料充填後の蓋を取り付ける設備変更も不要となり、スムーズな置き換えが可能となる。
東洋製罐グループおよびUACJは、アルミ缶水平リサイクルのさらなる推進を目指し、2023年2月6日付で業務提携契約を締結しており、「EcoEnd™」の開発も同提携における取り組みの一環。今後とも、同業務提携を通して、アルミ缶水平リサイクルのさらなる促進とサプライチェーン全体のGHG排出量の削減を目指す。
※1 2023年12月4日付プレスリリース参照「材料・製造方法を大きく見直した環境にやさしい次世代の飲料缶蓋「EcoEndTM」を開発-東洋製罐とUACJ共同の取り組みにより温室効果ガス排出量を4割削減-」
※2 東洋製罐調べ
※3 「EcoEnd™」1個当たりのGHG削減量および東洋製罐における現行仕様のSOT(ステイオンタブ)缶向け蓋の2019年度製造実績を基に算定
※4 国内向け「EcoEnd™」について。海外向けは現在開発中
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