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2025/10/23
【PAR樹脂】ユニチカ、UV吸収性ポリアリレート樹脂によるUVレーザーを利用した透明樹脂同士の新規溶着技術を開発
ユニチカは、透明樹脂同士の溶着方法として、355nmのUVレーザーおよびUV吸収性ポリアリレート(PAR)樹脂を使用した、新規のレーザー溶着工法を開発した。

開発の背景
近年、赤外レーザーを使用した熱可塑性樹脂同士の溶着工法の利用が増大している。原理としては、赤外レーザー透過性樹脂と吸収性樹脂(不透明になる場合が多い)を組み合わせ、透過性樹脂側から赤外レーザーを照射し、接合界面の吸収樹脂側でレーザーがピンポイントで吸収され発熱することで相互の樹脂が溶融し溶着する。振動溶着、超音波溶着、熱板溶着などの他の溶着工法と比較し、非接触かつ溶着部だけのピンポイント加熱の工法であるため、樹脂ワークに与える物理的・熱的ダメージが少ない、溶着バリが少なく仕上がりがきれいになるなどのメリットがある。
しかし、透明樹脂同士の赤外レーザー溶着においては、樹脂の透明性とレーザー吸収性の両立が難しく、レーザーの吸収・発熱がピンポイントでなく、溶着部以外でも熱ダメージが発生するという問題がある。また別途レーザー吸収剤を接合界面に塗布する工法もあるが、吸収剤や工程の増加によるコストアップなどの問題点もある。
UV吸収性PAR樹脂によるUVレーザー溶着工法
今回、同社で開発したUVレーザー溶着工法は、これらの課題を解決します。原理としては、UV透過性樹脂として、ポリカーボネート(PC)樹脂やポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等と、UV吸収性PAR樹脂とを組み合わせ、355nmのUVレーザーを照射して溶着する。このUV吸収性PAR樹脂は、同社独自技術により、UVレーザー溶着工法用にUV吸収特性と溶着特性を最適化させている。355nmのレーザー光をピンポイントで吸収・発熱し、相手材と強固に溶着する。ポリマー自体が優れたUV吸収特性を有しているので、近年、環境懸念物質となっているUV吸収剤も配合不要。UV吸収性PAR樹脂は、世の中に存在する透明UV吸収性樹脂の中でも、透明性、色調、UV吸収発熱性、透過側材料との溶着性において圧倒的に優れた材料になる。
さらにUVレーザーは樹脂の切断、穴あけなどの精密加工に使用されるため、溶着加工も組みあわせた各種加工工程がワンセットで可能となり、近年需要が高まるマイクロ流路デバイスの製造等にも適用可能。
なお、この技術は、2025年10月29日(水)~31日(金)まで行われる オートモーティブワールド 名古屋 カーエレクトロニクス技術展 2025 の同社ブースで展示される。
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