アーカイブ情報
2023/12/24
【Patent】丸富製紙、国内最長級200m以上の超長巻きトイレットペーパーの製法特許取得
丸富製紙は、超長尺(1ロールの長さ200m以上)トイレットペーパーの製法に関する特許(特許番号第7391371号)を取得した。
同社は、2015年11月に史上初(※)の超長巻き250mのトイレットペーパーを開発・販売し、その後も超長尺ロールの製造に積極的に取り組んできた。これにより、バックヤード向けにはテーマパーク、ホテル、公共施設などで幅広い分野で採用され、2016年3月に発売された一般家庭向けの「ペンギン超ロング5倍巻きトイレットペーパーシリーズ」は、新しい価値として多くのユーザーから支持されている。
※一般的な家庭用ホルダーにおさまるトイレットペーパー分野における。同社調べ
<芯なし長尺ロールの需要の高まり>
芯なし長尺ロールは、娯楽や公共施設での利用だけでなく、災害時の備蓄用途でも重宝されている。通常よりも長巻きなので取り替え頻度を大幅に減少させ、更に同じ巻長さで比較した場合ストックしておくロールの量も減らせることで省スペースも実現。加えて芯のゴミも出ないため環境負荷を軽減する製品として注目されている。
<130~170m巻きから200m以上へ>
同社は、1982年より芯なしトイレットペーパーの製造を開始。2015年に250mのトイレットペーパー開発成功をきっかけに、超長尺分野(1ロールの長さ200m以上)への注力を強化開始。現在では300m巻きという国内最長級(※)の長さのトイレットペーパーも製造しており、主力カテゴリの一環として成長している。
●従来の課題
<製造上の課題>
170m以上の超長尺ロールを製造するには、紙を巻く過程において、ロールの径が大きくなってしまい、ロールホルダーへの収まりに関する問題が挙げられる。また、規定の幅に断裁、スリットする際にはロールが硬くなり、巻き上げ時の高テンションで、工程不良や商品不良が多発してしまう。
<品質面での課題>
超長尺ロールは独自の製造工程で巻き取っているため、通常の有芯ラインの製品よりも紙が薄く、かつ硬い風合いになる。長巻き化を実現しつつ、使用感を損なわせない点も大きな課題。
●課題解決に向けた施策
<超長尺を実現する紙強度の確保>
紙を製造する上で重要な数値である、原料の叩解度、坪量、クレープ率、J/W比率などの最適な組み合わせを見出すことで、超長尺ロールの加工に適した原紙抄造を実現した。同時に、高テンションでの巻き上げ時に耐えうる、紙の引張り強さと破裂強さを確保。こうした絶妙な数値の調整および試行錯誤により、課題であったロール径の大きさ、工程・商品不良の問題を解消した。また、十分な紙強度を確保できたことで、製品の使用感(肌触りや吸水性など)の課題に関しても、度重なるテストの末、満足できるレベルに到達した。
●展望
<長さへの挑戦および新しい価値の創造>
今後も社会不安や災害・備蓄等を背景に、長尺ロールへの需要は高まると予想される。同は、さらなる長巻き化に向け技術力を高めるとともに、植物由来の新素材CNF(セルロースナノファイバー)を応用化した研究開発も進めていく。また、一般家庭での需要拡大も見越し、使用感のさらなる向上を目指しつつ、従来にない、新しい付加価値をつけた超長尺ロールの開発等へも挑戦していく。
- カテゴリー
- コンバーティングニュース