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2025/10/11

【PP/竹複合材料】矢崎総業、カーボンフットプリント半減と性能向上を両立。自動車部品などに活用

 矢崎総業の米国完全子会社であるYTC America Inc.は、植物性フィラー(充填剤)をベースとした複合材料を開発した。従来の鉱物資源をベースとした複合材料と比較し竹由来の素材を用いることで、カーボンフットプリント(CFP)を約50%削減しながら、衝撃強度や耐熱性など多くの面で従来品と同等以上の特性を実現した。既存材料と同等の性能を有し、かつカーボン排出量の削減が見込める自動車部品などに活用を見込んでおり、年内の実用化を目指す。

新材料の研究開発の背景と経緯
 ポリプロピレン(PP)とタルクやグラスファイバーとの複合材料など、従来用いられている化石燃料由来の樹脂材料は、高い信頼性と性能を提供するが、利用に伴う炭素排出量の増加が課題であった。2050年のカーボンニュートラル実現と、自動車分野でのサーキュラーエコノミー(循環型経済)を推進するため、従来のPP/タルク複合材料の代替品として、植物性フィラー(竹)を用いたPP/竹複合材料を開発した。開発した複合材料は、植物性フィラーの利用による樹脂を減らす効果に加えて、竹が吸収した二酸化炭素を、「缶詰」のように内部に保持できるため、約50%のカーボンフットプリント削減と、従来同等以上の機械的性能を両立する。

図1 PP/竹複合材料と従来の複合材料のカーボンフットプリントの比較

研究開発の詳細
 竹は、一般的な木材の4倍以上の炭素を吸収しながら、急速に成長し、世界各地に分布している。これらの特徴により、安全で費用対効果が高く、炭素排出量への影響を抑えたサプライチェーン構築が可能。世界中には約1700種の竹が知られているが、これらを分析し、日本の孟宗竹やコロンビアのグアドゥアなど、それぞれの地域での複合材料に適した候補を選んだ。日本国内でも、かつては生活資材として活用されていたが、近年では管理が行き届かず「放置竹林」として拡大し、近隣の森林や景観への影響が問題となっている。このような背景の踏まえ、竹を活用した複合材料の開発は、環境負荷の低減のみならず、社会的課題の解決にもつながると考えられている。
 PP/竹複合材料の開発には、天然繊維特有の吸湿性や親水性による接着の難しさなど、いくつかの技術的課題があったが、継続的な研究開発により、天然由来の添加剤の選定と樹脂・竹の接合最適化に成功し、優れた機械的特性を持つ複合材料を開発した。さらに、臭気や可燃性といった天然繊維複合材料の一般的な課題についても、自動車向けの厳しい基準を満たす。

図2 同じ面積、期間で得られる竹と木材(松)の生育量の比較

YTC AmericaのPP/竹複合材料のユニークな特徴
・最適な竹の選定
・吸湿性の改善
・機械的特性の改善
・臭気・難燃性の改善

 PP/竹複合材料の引張強度と曲げ強度は、比較対象のPP/タルク複合材料と同等。衝撃強度、伸び、曲げ弾性率、熱たわみ温度(HDT)など、他の特性はPP/タルク複合材料を上回る特性を実現する。

図3 PP/竹複合材料(緑)とPP/タルク複合材料(赤)の特性比較

自動車部品などへの活用先について
 既存のPPまたはPP/タルク材料をPP/竹複合材に置き換えることで、カーボンフットプリントの削減が効果的に見込める、各種の自動車部品や保護部材などへの活用を検討している。(下記写真はPP/竹複合素材を活用したサンプル品)

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