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2024/6/12
【Printing】東北エプソン、約51億円を投資しインクジェットプリンター用ヘッド製造の新棟建設開始。将来的にヘッド生産能力を4倍程度まで増強
セイコーエプソン(以下 エプソン)のグループ会社である東北エプソン株式会社(以下 東北エプソン)は、約51億円を投資し、インクジェットプリンター用ヘッド(以下 プリントヘッド)の生産工場の建設を開始する。
新棟は、東北エプソン敷地内に建設、2024年6月12日地鎮祭を執り行い、6月15日着工、2025年9月末の竣工を目指す。今回の投資により、将来的には東北エプソンにおけるプリントヘッドの生産能力を現在の4倍程度にまで拡大できる見込み。
エプソンのプリンティングソリューションズ事業では、エプソン独創のインクジェット技術である「マイクロピエゾ技術」を活用し、オフィス・ホーム、商業・産業の幅広い分野の顧客に製品・サービスを提供している。オフィス・ホーム向けインクジェットプリンターでは、新興国市場や北米での大容量インクタンク搭載プリンターへの需要継続、オフィス向け高速機の伸長から、今後も全世界でインクジェットプリンターの需要増加は継続する見通し。
また、商業・産業向けインクジェットプリンターは、アナログ印刷からデジタル印刷へのシフトに伴い、デジタル捺染など紙以外の分野での需要が高まっている。さらに、商業・産業向けインクジェットプリンターの多くは、「マイクロTFPプリントチップ」を用途に合わせて柔軟に組み合わせた「PrecisionCore(プレシジョンコア)マイクロTFPプリントヘッド*」(以下 PrecisionCoreプリントヘッド)を搭載している。
エプソンでは、商業・産業向けプリンターや高速ラインヘッド搭載のインクジェット複合機など、今後さらにPrecisionCore プリントヘッドの搭載増加を見込んでいる。
また、ヘッド外販ビジネスの強化により、環境負荷を低減するデジタル・プリンティングの世界を広げ、インクジェットによるイノベーションを加速させている。拡大する多様な印刷用途や、新たなニーズが生まれているエレクトロニクス分野やバイオ分野での活用など、オープンイノベーションにより、新たな発想や技術をもつ外部パートナーと協力することで、その可能性は広がっていく。
東北エプソンでは、1995年にプリントヘッド(CHIPSヘッド)の生産を開始、2013年6月にはPrecisionCore プリントヘッドの生産ラインを構築、量産を開始した。エプソンのロボットを駆使した完全自動組立ラインとし、プリントヘッドの生産技術ノウハウの蓄積を図るとともに、生産技術を盤石なものとして、国内生産拠点としての競争優位性を向上させてきた。
このたび新たに建設する東北エプソンの新棟は、中期計画に基づき広丘事業所(長野県塩尻市)における「マイクロTFPプリントチップ」前工程の増産に対応するもので、2023年12月竣工の秋田エプソン(秋田県湯沢市)10号棟とともに国内における後工程の生産能力を拡大させるもの。
東北圏2拠点において、安定生産を実現するため機種別生産割り付けを行い、BCP対応として主流機種の両拠点での生産やライン共用による生産変動に柔軟に対応することで、生産性向上を図る。これにより、今後のPrecisionCoreプリントヘッド搭載のインクジェットプリンターの需要増加による製品ラインアップ強化などを可能にしていく。
新棟は、新規設計の工程による省人化・省スペース化を図り、工程内在庫の最小化や自動運搬ロボットの導入、効率的レイアウトなどにより、作業者の負荷を低減する。これからの製造業における課題に対応し、働きやすさと高効率生産を両立する未来工場を実現する。
また、東北エプソンにおける新棟建設は1997年の半導体製造工場以来となることから、近隣への騒音・安全性を配慮し、床コンクリートの冬季打設により冬季工事を中止することなく行い、工期短縮を図る。さらに、地域に根差した企業市民として地域社会の発展と調和に貢献する工場を目指す。
*PrecisionCore マイクロTFPプリントヘッド:インクを吐出するノズルのひとつひとつを異なる制御で、数ピコリットル(1ピコリットル=1兆分の1リットル)という微細なインク滴を1秒間に5万発噴射できるインクジェットプリンターの画質と速度を決定する非常に重要な基幹部品
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