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2024/10/11

【Printing】IJ捺染プリンター「FOREARTH」と廃漁網リサイクル糸「MURON」のコラボレーション作品、ファッションブランド「ANREALAGE」がパリ・ファッションウィークで発表

 京セラドキュメントソリューションズは、モリトアパレルが、廃漁網をリサイクルした糸「MURON(ミューロン)」を使用した生地に、同社のインクジェット(IJ)捺染プリンター「FOREARTH(フォレアス)」で印刷し制作されたコラボレーション作品を、2025年春夏パリ・ファッションウィーク®(パリコレ)のウィメンズコレクションで、ファッションブランド「ANREALAGE」から発表されたことを明らかにした。

 「ANREALAGE」が発表した今回のコレクションは、「目に見えない風の力を可視化する」をコンセプトで制作された。風は水面に波を立て、海流を生み出し、蒸発を促進して雲を形成する。これにより降雨がもたらされ、地球の水循環が維持される。このように、地球の風と水の相互作用は環境において非常に重要な役割を果たしている。
 そのようなコンセプトのもと、京セラドキュメントソリューションズの水の使用を99.98%抑えたIJ捺染プリンター「FOREARTH」の印刷技術と、海洋プラスチック汚染の課題を解決する廃漁網リサイクル糸「MURON」とのコラボレーションが、特別かつサステナブルな生地となり、「ANREALAGE」のコレクションという形で可視化された。

廃漁網をリサイクルした糸「MURON」

 世界中で海洋プラスチック汚染の観点から廃漁網、および漁具のリサイクルが重要な課題となっている。2016年度の環境省による海洋ごみの調査によると、日本に漂着するプラスチックごみの総重量の内、約40%が廃漁網、およびロープとされている。
 このような課題に着目し、モリトアパレルでは廃漁網のリサイクルに力を入れている。「MURON」は、日本国内で回収された廃漁網を100%使用してリサイクルされた糸で、ケミカルリサイクルの工程を加えることで、高品質で安定した繊維の開発を実現した。

 「ANREALAGE」のデザイナーである森永邦彦氏は次のようにコメントしている。
 廃漁網生地に「FOREARTH」でプリントすることで、水に関してサステナブルな取り組みになるのではないかと考えました。廃棄された漁網を繊維にしてリサイクルすることで、この地球の環境・水を守っていく一助になるのではないかと思います。水の使用を最大限削減した「FOREARTH」の社会的な意義と、廃漁網をリサイクルしたテキスタイルのあり方というものに親和性を感じています。
 従来の捺染プリンターでプリントしたテキスタイルは硬くなってしまったり、生地独特の風合いにならないなど懸念がありました。しかし、「FOREARTH」でプリントされたテキスタイルを見て、微妙な凹凸(おうとつ)によって生まれる陰影をきれいに映し出してくれていますし、素材としても軽やかで廃漁網がこのような形で生まれ変わり、新たに存在していることにすごく感銘を受けました。
 ファッションデザイナーとして、自分たちが発表するコレクションは地球の未来であったり、環境の未来につながる部分が創作の原点であるべきだと思っています。それは廃漁網リサイクルのテキスタイルをファッションの文脈で使うこともそうですし、「FOREARTH」のプリント技術を使うこともそうです。ただ、これは1つのブランドが使うだけは、今後の大きな動きにはつながっていきません。アンリアレイジだけではなく、多くのブランドまたはファッションに関わる方々が目を向けて採用してくれることを願っています。

インクジェット捺染プリンター「FOREARTH」の特長
(1)Water Free Concept
 水の使用量を限りなくゼロ※まで削減した生地印刷
(2)Creative Free
 独自開発の水性顔料インクで柔らかな風合いと、高い堅牢性を両立。フルカラー印刷を多種多様な生地で実現
(3)Location Free
 水資源に依存しない捺染で、設置場所を選ばず、適地・適量生産により、物流コストや在庫の削減に貢献
 「FOREARTH」は、生地の印刷時に水の使用量をほぼゼロにまで減らすことができるため、従来の捺染に必要な大型の前後処理機やスチーマーなどの設備機器が不要になる。そのため、エネルギー消費量とCO2排出量を大幅に削減することにも寄与する。さらに、繊維・アパレル業界で重要な生地の風合いを生かした柔らかい手触りを実現し、綿、シルク、ポリエステル、ナイロン、混紡など多種多様な生地への高精細な印刷が可能。

 京セラドキュメントソリューションズは、サステナブルなインクジェット捺染プリンター「FOREARTH」を通じて、テキスタイル捺染の世界での水質汚染やCO2排出量の多さ等の課題解決に貢献する。また、これからも世界を取り巻くさまざまな社会課題を技術の力で解決し、より良い未来をつくるために、創造の歩みを続けていく。
※FOREARTHは、プリント・乾燥のみで全工程が完了する。プリント工程では水を使用せず、ウォーターフリーを実現した。また、機器のメンテナンスに使用する水の量にもこだわり、循環ベルト洗浄システムを搭載しており、搬送ベルトの洗浄水を循環システムでフィルタリングしながら再利用する。生地1㎏当たりの水使用量を0.02L(京セラドキュメントソリューションズ調べ 2022年)まで削減する。

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