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2026/4/7

【SAF】木村化工機、ソルガムを原料とした安価なバイオエタノール国産製造プロセスの構築を目指すバイオエタノール製造の産学連携コンソーシアム「J-BAS」に参画

図1.ヒートポンプ式バイオエタノール蒸留装置

 木村化工機は、日本産業機械工業会が、持続可能な航空燃料「SAF」※1の供給拡大とカーボンニュートラル社会の実現に向け、ソルガム※2を原料とした安価なバイオエタノール国産製造プロセスの構築を目的として創設した産学連携コンソーシアム「J-BAS(Japan Bio Alcohol from Sorghum)」に参画する。バイオエタノールを製造する際の「前処理」、「発酵」、「蒸留」、「高純度化」の4つのプロセスにおいて、同社は「水熱処理技術」、「膜処理技術」、「蒸留技術」によって貢献することができる。特に、発酵直後のアルコール濃度が低いエタノールを蒸留するプロセスにおいて、CO2の排出量を大幅に削減する「ヒートポンプ式バイオエタノール蒸留装置」の導入を提案している。同社は国産SAFの商用化と普及拡大に取り組む有志団体「ACT FOR SKY」※3にも、2024年4月に加盟している。

※1.「SAF」は、Sustainable Aviation Fuel(持続可能な航空燃料)の略称で、循環型の原料で製造された航空燃料を化石由来のジェット燃料の代わりとなる、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の排出量を抑えられる燃料。
※2.「ソルガム」は、モロコシやタカキビとも呼ばれる穀物で、アフリカが原産地であり、日本には遅くとも室町時代には伝わったとされる。実以外の茎などがバイオエタノールの原料となる。信州大学 工学部 物質化学科 生物化学研究室の天野良彦教授は、長年ソルガムの利活用をはじめとするバイオマスの研究を続けている。
※3.「ACT FOR SKY」は、持続可能な航空燃料SAFの普及・拡大を目指す、オールジャパンの企業や自治体等からなる有志団体。事業として国産SAFに直接関与し、サプライチェーン構築の主体となる企業(ACTメンバー)と、国産SAFのサプライチェーン構築に必要となる企業や自治体等(SKYメンバー)が加盟している。URL:https://actforsky.jp/

J-BASの概要

・J-BAS創設の背景

 現在、航空業界は世界的な脱炭素化の潮流の中にある。国際民間航空機関(ICAO)や国際航空運送協会(IATA)は、2050年までに二酸化炭素排出量を2005年比で半減させるという高い目標を掲げている。

 この実現には、2030年までに使用燃料の10%をSAFへ移行することが不可欠であり、日本政府(国土交通省)も「本邦エアラインによる燃料使用量の10%をSAFに置き換える」という明確な目標を策定した※4。しかし、2020年時点の世界のSAF供給量は、ジェット燃料全体のわずか0.03%にとどまっており※5、需給ギャップは依然として極めて大きい状況にある。このギャップを埋めるためには、革新的な製造技術と安定的な国産供給体制の基盤づくりが喫緊の課題となっている。

 そこで、日本国内の産業機械及び関連産業の発展を図る業界団体である、日本産業機械工業会は、SAF(Sustainable Aviation Fuel)の供給拡大とカーボンニュートラル社会の実現に向け、ソルガムを原料とした安価なバイオエタノール国産製造プロセスの構築を目的とする産学連携コンソーシアム「J-BAS(Japan Bio Alcohol from Sorghum)」を創設した。

日本産業機械工業会 URL:https://www.jsim.or.jp/

※4 国土交通省 航空局「第1回SAFの導入促進に向けた官民協議会 説明資料」(2022年4月22日)
※5 経済産業省 資源エネルギー庁「持続可能な航空燃料(SAF)の導入促進に向けた官民協議会」について(2022年4月)

 

・J-BASのミッション

 J-BASは、従来のバイオエタノール製造プロセスを「ものづくり」の視点から再構築し、プラント実証や商用化につながる技術開発の確立に注力します。具体的には、以下の2つを重点領域として取り組む。

①エンジニアリング技術の統合
 原料粉砕・輸送、熱回収、反応制御、膜分離、蒸留、そしてプラント構築に関わる国産の産業機械技術をパッケージ化し、最適な製造プロセスの確立に向けて総合的に検討する。

②製造プロセス全体の最適化によるコスト低減
 
単一の技術開発にとどまらず、製造プロセス全体を1つのシステムとして最適化することで、国産バイオエタノールの低コスト化を目指す。その他、J-BASでは、エンジニアリングの統合および製造プロセス全体の最適化を検討する。併せて、国産酵素の活用、原料作物としてのソルガムの特性の整理、将来の実証・商用化を見据えたスケール検討などについても、技術開発を支える補完的な要素として検討を進める。

 同社は記①②の重点領域に「水熱処理技術」、「膜分離技術」、「蒸留技術」によって貢献する。

 

●バイオエタノール製造において同社が貢献できる技術

・バイオエタノール製造プロセス

 ソルガムをはじめとする木質系ソフトセルロース原料からバイオエタノールを製造する際には、「前処理プロセス」で、原料を構成するセルロース、ヘミセルロース、リグニンを酸又はアルカリで可溶化した後、「発酵プロセス」で糖化を経てアルコール発酵する。さらに「蒸留プロセス」でエタノール液の濃度を高め、「高純度化プロセス」で99.5%以上のエタノールに濃縮する。

・木村化工機が貢献できる技術

 この4つのプロセスにおいて、当社の技術は次のように貢献します。

図2:バイオエタノール製造プロセスにおいて木村化工機が貢献できる技術

 

前処理プロセス同社の「水熱処理技術」による高温高圧の亜臨界水が持つ高い加水分解能力を利用して、セルロース系バイオマスの強固な組織を分解し、次の酵素糖化を促進させる
発酵プロセス発酵を終えたエタノール液から、精密ろ過膜(MF膜)や限外ろ過膜(UF膜)を用いて、酵母や未反応の糖、不純物などを取り除く
蒸留プロセス低濃度のバイオエタノール液を沸騰させてエタノールの濃度を高める際、ボイラ蒸気を用いる代わりに、電力を動力とする「ヒートポンプ式バイオエタノール蒸留装置」を用いることで、CO2排出量を大幅に削減
高純度化プロセスベンゼン等を使用する水とエタノールの共沸蒸留に代わる安全性の高い手段として、浸透気化法(PV法)や蒸気透過法(VP法)を用いた膜分離ユニットにより、エタノールを99.5%以上に高純度化する

 

●同社が開発した「ヒートポンプ式バイオエタノール蒸留装置」

 従来、低濃度のエタノールを濃縮する蒸留プロセスは、製造プロセス全体の消費エネルギーの大半を占めていた。

 同社はSAFの原料用バイオエタノールを蒸留する際の消費エネルギーを大幅に低減する「ヒートポンプ式バイオエタノール蒸留装置」を開発し、2023年から販売している。2024年には本装置のシステムとシミュレーションプログラムを開発し、特許を出願した。

 この装置はボイラ蒸気を不要とし、電力のみで蒸留を行う。ヒートポンプが装置から排出される低温レベルの熱を回収し(理論回収率99.0%)、有効エネルギーとして再利用します。製品当たりの消費電力量は0.7kWh/Lと省電力で運転でき、再生可能エネルギー由来の電力を使用することで、CO2排出量がゼロとなる。

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