【誘電有機絶縁樹脂】デンカ、千葉工場に「SNECTON」製造プラントを竣工

 デンカは5月18日、デンカ千葉工場(千葉県市原市)において、低誘電有機絶縁樹脂SNECTON(スネクトン)の製造プラントを竣工した。

左:スネクトン製造プラント外観 右:スネクトン

 スネクトンは、デンカが独自の重合技術を基盤に開発した、低誘電特性を備えた樹脂素材。通信の高速化・大容量化が進展する中、各種電子機器に用いられる電子回路基板では、信号が伝送過程で熱に変換され失われる「伝送損失(※1)」が大きな課題となっている。スネクトンは、低誘電率(※2)・低誘電正接(※3)という優れた電気特性により伝送損失を大幅に低減し、既存の高性能材料であるフッ素樹脂と同等以上の性能を実現している。また、フッ素樹脂では課題となっている積層加工性や銅箔との密着性を両立している点を特長としており、耐熱性にも優れ、データセンターや通信機器向け電子回路基板の高信頼化と省エネルギー化に貢献する。

 こうした優れた特長を背景に、スネクトンは5GやBeyond 5Gの普及、AIサーバーやデータセンター分野の進展とともに採用が進んでおり、今後もさらなる広がりが見込まれている。同社は、今後の需要動向を見据え、安定的な製品供給体制の構築と事業拡大を目的として専用プラントの建設を進めてきた。同プラントの竣工により、伸長する市場ニーズに的確に対応するとともに、スネクトン事業のさらなる成長を加速する。

 デンカは、経営計画「Mission 2030」に基づき、成長軌道への回帰とさらなる成長に向けた取り組みを進めている。2026年度から2028年度を対象とする「Mission 2030 フェーズ2」では、「稼ぐ力の再構築」を掲げ、ICT&Energy領域およびHealthcare領域を中心に、成長ドライバーへの資源の集中による収益力の向上に注力している。スネクトンは、ICT&Energy領域における成長ドライバーの1つと位置づけられており、本プラントの竣工は、フェーズ2で進める成長戦略の一環として実施したもの。

※1 伝送損失:電子回路基板内を電気信号が伝わる過程で、一部の信号が熱に変換され、失われてしまう現象。通信の高速化が進むほど、信号の減衰や消費電力の増加を招く要因。高速・大容量通信を実現する上での重要な課題の1つ
※2 誘電率:配線を電気信号が流れる際に、材料の中で電気がどれだけ偏る(分極する)かを示す指標。誘電率が低いほど、信号を高速かつ正確に伝送することが可能になる
※3 誘電正接:電気信号が通過する際に、電気エネルギーがどれだけ失われやすいか(減衰の度合い)を示す指標。誘電正接が低い材料ほど、信号が熱に変換されにくく、長い距離でも効率よく伝送することが可能となる特性。高性能な大型の電子回路基板において、特に重視される性能指標