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2025/5/16

【卓上精密万能試験機】島津製作所、「オートグラフAGS-Vシリーズ」発売

 島津製作所は、精密万能試験機「オートグラフAGS-Vシリーズ」を発売した。同シリーズは、力の測定精度を保証する範囲(試験力精度保証範囲)を従来比で2倍に拡大させた。この新機能により力測定センサーや測定に必要な付属品の交換作業を減少させることができる。また、試験終了後に自動で試験開始位置に戻る速度を高速化することで、試験のスループットを向上させた。高精度で効率性と操作性を兼ね備えた普及機モデルとして、グローバル製造業の中で近年活発化している電気自動車(EV)用の金属・樹脂部品や電池材料、炭素繊維強化樹脂(CFRP)、プラスチックなどの研究開発や品質管理に貢献する。
 精密万能試験機は、材料の強度や力を加えた際の変化を測定する強度試験に使用されている。近年、EVやカーボンニュートラル関連の研究が進んでおり、新素材・新構造の部品・製品の強度試験が増えている。「高い試験効率」「優れた操作性」という需要に応えて、「オートグラフAGS-Vシリーズ」は、従来モデルから試験力精度保証範囲や試験片に力を加える速度、試験開始位置への戻り速度など、基本性能をアップしている。起動時に試験力を自動で校正する機能やPCなしで使用できる液晶タッチパネル、ジョグダイヤルを装備しており、高い操作性を実現。様々な試験で使用できる材料試験オペレーションソフトウェア「TRAPEZIUMX-V」にも対応。また、ハイエンドモデル「AGX-V2シリーズ」と同様、動作前に音声案内が流れるため、安心して操作できる。対応言語は日本語・英語・中国語。卓上型のため省スペースでの設置が可能。島津製作所は試験機の性能向上や自動化を通じて、新素材の研究開発に貢献していく。
 「オートグラフAGS-Vシリーズ」の特長は次の通り。
(1)充実のスペックで新時代の試験品質を
 試験片に力を加える速度の範囲が毎分0.0005~1500mmに拡大したことにより、多くの条件での試験が可能になった。試験開始位置に戻る速度が毎分1650mmと向上したことで、試験時間を短縮する。また、試験力の取り込み速度が従来機の1ms※から0.2msと5倍高速になり、ガラスやセラミックなどの瞬時に破壊される試験片をより高精度に測定できる。試験力精度保証範囲が1/1000まで拡大しており、試験力立ち上がり部分も安心して解析できるようになった。試験力に合わせて複数の力測定センサー(ロードセル)を交換していた試験が、1つのロードセルで対応できるようになり、交換作業と校正費用の削減が可能。材料試験オペレーションソフトウェア「TRAPEZIUMX-V」に対応しており、簡単設定で安価の「シングルライトソフトウェア」も利用できる。
※ms(ミリ秒)は1000分の1秒
(2)使いやすさと効率性追求で生産性アップ
 カラー液晶タッチパネルが、シーンに合わせて最適なボタンや情報を表示。PCを使わず、オペレーションコントローラーのみで操作できる。測定結果はUSBメモリーに保存される。また、ハイエンドモデル「AGX-V2シリーズ」に対応している音声案内を搭載しており、クロスヘッド動作前に音声案内が流れ、誤操作を防ぐ。装置による自己診断機能がセンサーアンプの校正情報、試験機の運転状態、電源電圧、通信状態などを監視して、異常を即座に通知します。また、装置の使用時間や使用回数が規定値に到達するとお知らせする機能を搭載しており、ダウンタイムを減らす。工具や試験片を置ける装置前方のマルチテーブルを使用すれば、必要最小限の動きで試験を効率的に行える。
(3)操作者にやさしさと安全性を
 試験片の破断に備えて、飛散防止カバーを標準装備。インターロック機能により、カバーを開けた状態では試験が続けられないように安全性を高めている。上下昇降式のカバーであり、止めたい位置に自在に止まるフリーストップ機能付き。治具の衝突を防ぐため、インテリジェントクロスヘッドは、常に現在位置を認識している。誤操作により治具同士が近付き過ぎた際は、警告を発して、クロスヘッドを自動的に停止させる。
 価格は260万円~(税込み)、目標販売台数は発売後1年間で国内外合わせて900台(シリーズ合計)。

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